ミステリー本

【東野圭吾厳選10作品】初心者におすすめの作品をあらすじ付きでご紹介!

「東野圭吾作品を読んでみたいけど、たくさんありすぎて、どれから読んだらいいか分からない。」

東野圭吾作品はミステリーを中心にたくさんのジャンルの作品があります。
僕自身も最初はどれに手にとってみたらよいのか、結構迷いました。

そこで、東野圭吾作品を初めて読んでみたいあなたへ、10作品を紹介したいと思います。

僕なりに「東野さんらしいな」と思う味わいが詰まった作品を選んでみました。

ぜひ、参考にしてみてくださいね。

おすすめの作品はこちらです!

Contents

容疑者Xの献身


どんな作品?

予想もできない数々の伏線とトリック、そして究極の愛の形の物語です。
「このミステリーが読みたい!1位」受賞。

東野圭吾さんの代表作と言っても過言ではないでしょうか。
映画化もされ大ヒットとなりました。

天才 VS 天才による駆け引きや「トリック」に関する驚きはもちろんのこと、ヒューマン小説でもある大作だと思います。

この本をきっかけに他のタイトルへハマっていったのは言うまでもありません。

読んだ直後の気分・感想は?

衝撃的すぎるトリックと容疑者石神のあまりにも純粋で献身的な愛に心が持っていかれて、しばらく余韻から抜けられませんでした。

ボーッと考えを巡らせてる感じです。切ない気持ちでいっぱいなりました。
人生そのものを捧げた石神の「愛の形」には胸がしめつけられます。

湯川と石神の高度な駆け引きとやりあいはとにかく面白くて目が離せません。

あらすじ

花岡靖子と娘・里美は執拗にお金を要求してくる元夫に恐怖を覚え、勢いで殺害してしまう。
隣人だった石神がこれに気づき、殺害現場へ訪問し、娘のために自首しようとする花岡靖子に石神は逮捕から逃れるための提案。
現場の状態を把握し、計画を描いた石神は花岡親子にこれからすべき行動を伝えて、自分も自分がやるべきことへ早々ととりかかったのだった。

捜査担当は草薙刑事。
そして、捜査協力の依頼を受けて草彅刑事の大学の同級生・湯川学が事件の真相解明に乗り出した。
変人ガリレオで有名な天才物理学者湯川学。
犯人側である石神は大学時代の友人で天才数学者。
「天才 VS 天才」の対決が今ここにはじまった。

花岡親子のアリバイを崩すために徹底的に調べていく警察だが、追っても追ってもアリバイが正しいことが証明されていくばかり。
湯川も石神の課題(犯罪計画)を必死に解こうとするが、警察と同じように行き詰まる。

しかし、石神が何気なく草薙刑事に発した言葉(石神の試験問題の作り方)にヒントを得た湯川は、恐るべき真実にたどり着いてしまう。
石神の花岡靖子に対する「究極の愛」と花岡靖子本人も知らない石神本人が背負った「多大なる犠牲」に気づくのだった。

今まで現象だけに興味を持ち、事件を解決してきた湯川だが、「友情」と「真実追求」の間で葛藤し、悩み苦しみ、沈黙する。真実を暴いたところで誰も幸せにはならないと・・。

見どころ

天才物理学者 VS 天才数学者の対決

「この世のすべてを理論によって構築したいという野望は二人に共通したものだったが、そのアプローチ方法は正反対だった。石神は数式というブロックを積み上げていくことでそれを成し遂げようとした。一方湯川は、まず観察することから始める。その上で謎を発見し、それを解明していくのだ。石神はシミュレーションが好きだったが、湯川は実験に意欲的だった。」

まさにこのアプローチの違いがこの対決の面白さなのだと思いました。
同じ天才であれど、考え方のアプローチが違うからこそ、そのせめぎ合いが楽しいのです。スリリングな駆け引きが続いていく様は、読んでいていとても興奮してしまいました。

驚きのトリック

容疑者石神の仕掛けたトリックを知った時に、まさに読んでいた内容が全て「ズレて」いたことに気づき、驚きを隠せませんでした。
作中の刑事と同じように見事にミスリードされていたのです。

この作品は、「最初に犯人がわかっているタイプ」で、犯人がどんなボロを出すか?それを主人公がどう切り崩すのか?という流れになるのが普通ですが、今回はこの大筋の流れ自体にもトリックがあり、読者にも知らされていない背後の真実が隠されて進みます。

試験問題を作るように、天才数学者が犯罪計画をつくる。
そしてその精度はとても緻密でありつつも、予想もできない大胆さも併せ持つので、刑事も僕自身も見事にその罠にはまっていきました。

石神の純粋かつ大きな愛

ミステリー小説でありながら、心揺さぶられる切ない愛の物語でもあります。

自殺しようとしていたところを、隣に引っ越してきた花岡親子に救われ、再び生きることを選んだ石神。
その石神の花岡靖子への純粋な愛は、自分の身を挺してでも彼女を守るという覚悟がありました。そのために自分の身を捧げてでも完璧な犯罪計画を立て、実行するのです。

うちに秘めたとてつもない大きな愛を、この「犯罪計画と実行」を通して知った時には、胸が詰まりました。

 

沈黙のパレード


どんな作品?

ガリレオシリーズの第三弾。登場人物多数で、それぞれの視点・心情から展開されるストーリー。
最初に、犯人が大枠だけわかるものの、真犯人と犯行の仕方をガリレオ先生・湯川学と草薙&内海刑事で解き明かしていくミステリー作品です。

実現不可能だと思われる犯行を科学の力とガリレオ先生ならではの豊富な視点で次々に解明していく流れは必見です。

読んだ直後の気分・感想は?

読了直後は清々しい気持ちでした。途中、いろんな立場の人たちの心情や行動に触れていくうちに、何が真実で、何が正しいのか、迷いながら読み進めていました。

人の数だけ悩みや抱えている秘密・環境は違います。
作中の街の人たちもそうで、それがとてもリアルに描かれているのです。

後半最後の怒涛の展開はとても興奮します。
いわゆるどんでん返しがこれでもかとやってきます。気持ちが高鳴っているのをとても感じました。

あらすじ

静岡県の小さな街で、火災が発生。家の焼け跡から2対の白骨化した遺体が発見された。
鑑定の結果、一人は、家主・蓮沼芳枝。もう一人は3年前から行方不明だった並木沙織だった。

並木佐織は、東京菊野市の菊野商店街にある食堂「なみきや」の看板娘で、お店の主人・並木祐太郎と妻・真知子の娘だった。
小さなころからその食堂に来てくれる常連客にも可愛がられ、スクスクと育てられていたのだった。
3歳下の妹・夏美の面倒もよく見る優しいお姉ちゃんでもあった。

沙織が高校2年生の時に、文化祭で歌声を披露すると、その抜群の歌唱力に惚れ込んだ新倉直己にスカウトされ、プロの道をめざして特訓することに。
新倉は自身も音楽の道を突き進んで、過去にパートナーとともにプロを目指した一人だった。
今は、音楽学校を経営しており、業界でのパイプを持っていた。

19歳になるまで、新倉と妻・留美の元でレッスンを受け、いよいよデビューというところで、佐織が突然と姿を消してしまったのだ。

なぜ佐織の遺体が縁のない静岡の家から発見されたのか。
蓮沼芳枝との関係は一体何なのか?

鑑定の結果、芳枝は6年ほど前に自然死していたと考えられ、沙織の死とは無関係だというのが警察の見解だった。
二人は顔すら合わせていないのではないかと。

芳枝の息子・蓮沼寛一は、「なみきや」に通っていた一人で、佐織への態度に周りの常連から疎まれていた。
やがてお店は出禁に。
佐織が失踪したのはその直後だったことから、蓮沼が佐織殺害の容疑者として早々に捜査線上にあがった。
操作が進むにつれて、物証も発見され、ほどなくして蓮沼は逮捕された。

蓮沼は23年前にも別の事件で容疑者となり、逮捕されていた人物だった。
当時12歳だった本橋優奈ちゃんを殺害し、遺棄した疑いで逮捕されていた。
優奈ちゃん失踪から4年後に、奥多摩の山中で遺体が見つかったのだった。この当時捜査担当をしていたのが、草薙刑事だった。

たくさんの証拠品を揃え、蓮沼を逮捕したものの、蓮沼は完全黙秘。
そして、下された判決は「無罪」であった。状況証拠のみでは「有罪」と認められなかったのだ。

23年たった今、またしても草薙が並木佐織の事件の担当刑事になり、容疑者は蓮沼寛一。
その蓮沼が逮捕されるものの、またしても黙秘をつらぬき、証拠不十分で釈放されてしまう。

憤りがおさまらない、並木家やその常連たち。そして、人生をかけて沙織をプロの歌手にしようと育てていた夫妻。

街がざわつき、動き始める。

そしてある日、蓮沼寛一が寝泊りしている部屋で死因不明の死体として発見された。
アメリカ帰りの湯川学が草薙刑事らとともにこの事件の真相解明にのりだすのであった。

見どころ

複数の視点から展開されるストーリーと登場人物の心理描写

事件を追う三人(湯川・草薙・内海)の他に、街の人たちの視点から感情の動きとともに展開されていきます。そしてそれらが事件を複雑にしています。
真実を追い求める者たちVS犯人達のチーム戦。全容が紐解かれていくときの爽快感はすごいです。
解決したかのようにみせて、更なる展開が続いていくところもさすが!の一言です。
ガリレオシリーズの真骨頂、科学の力で不可能と思われる犯罪を解き明かしていく過程はやっぱり胸が躍ります。

街の人たち自ら建てる犯行計画

街の祭りの裏で行われる犯行計画。
その計画を同じ共通の目的を持った人たちがまるでイベントごとのように、役割を決めて、意見を言い合い、アイデアを出し合っています。
その異様な雰囲気とテンションは読んでいて、違和感がありつつも引き込まれると思います。

事件の本当の解決とは何か?

事件の真相は明らかにされるのですが、その真相はどこまで好評すべきなのか?
街の人たちが固く口を閉ざす秘密はそれぞれ違うものの、最後にどうやって街の人たちは納得して終わるのか?
ただ真実を解明するだけではなく、それの解き明かされ方にも注目です。

湯川学の変化

TVを見た方は、ガリレオ先生の印象がすこし変わるかもしれません。
アメリカ留学を終えて、帰国した湯川はかつての「事象」だけに興味を持っていたころとは、少し変わったなと思える場面がたくさんあります。
「人」に対しての興味が湧いてきたのでしょうか。人情味あふれる街のお店の常連になるあたり、面白いです。

 

真夏の方程式


どんな作品?

人気ガリレオシリーズで、映画化もされた作品。
キーマンとなる少年・恭平と草薙刑事、湯川学など複数の登場人物の視点で物語は展開していきます。
事件の謎を追っていくミステリー作品でありながらも、複雑に絡み合った人間関係とそこに存在する様々な思いにも焦点をあてたヒューマンドラマでもあります。

ゆっくりと丁寧に登場人物達の心理やいろんな場面が描かれていかれていくところは、長編ならではです。

読んだ直後の気分・感想は?

苦しく、そして切なくなりました。
しかしながら、そこには湯川を含む登場人物達の深い優しさや愛に触れることもでき、心温まる面もありました。

犯行に手を下さないといけない理由と絶対にそれがバレてはいけない理由、そして選んだ方法。

どれも満たさなければいけないということに、これで良かったのかと読んでる僕自身も葛藤していました。

湯川の成美や恭平に対する優しさにとても心温まり感動しました。

あらすじ

帝都大学准教授・湯川学は海底金属鉱物資源機構(DESMEC、デスメック)による説明会にアドバイザーとして参加するために、玻璃ヶ浦に来ていた。

海がとても綺麗な街だが、観光業はうまくいっておらず、街は閑散としていた。
しかしそこには、貴重な海底資源があるかもしれないということが分かったのだ。

湯川は行きの電車で出会った少年・恭平をきっかけに、彼の親戚が営んでいる「緑岩荘」に宿泊することとなった。
宿は川畑重治・節子夫婦と娘の成美で営業されていた。恭平は親の都合で少しの間この旅館で過ごすことになっていた。

宿にはもう一人の宿泊客がいた。
しかし、夜になると突然、宿から姿を消してしまったので、心配になった宿の人と一部の街の人で捜索することになったのだが、結局見つからず終いとなってしまう。

翌日、男性が崖から転落した状態で遺体として発見された。
地元警察の西口刑事が担当として捜査をおこなっていく。
殺された男性は塚原正次といい、元警視庁の刑事だという。
塚原の後輩だった係長の命令で草薙刑事も内海刑事とともに、この事件を追うこととなる。

最初は単なる崖からの転落事故が濃厚として、地元警察は捜査を進めていたが、警視庁の草薙達は遺体の状況から単なる事故死ではないと考えていた。
その後、死亡原因が一酸化炭素中毒と判明すると、他殺の可能性もふまえて本格的に捜査が開始された。

この事件が起きた街に湯川がいることを知っていた草薙は連絡を入れて、宿や街の状況を聞き出すのだった。
普段から警察の捜査協力をしている湯川も今回の事件のことが気になっており、一緒に事件の真相を追うことになる。

なぜ塚原は説明会に参加するために、わざわざ玻璃ヶ浦までやってきたのか?
なぜ、突然と姿を消してしまったのか?

捜査が進む中で、塚原はどうやら別の目的があって玻璃ヶ浦に来たのでは?という線がでてきた。
というのも、かつて塚原が殺人犯として逮捕した仙波という人物がここに住んでいたことが分かったからだ。
仙波は十六年前に三宅伸子というホステスを殺害して刑務所に入り、八年前に出所していた。

今回の事件と十六年前の事件は関係があるのだろうか?
玻璃ヶ浦と東京で同時に捜査が進行していく。

湯川は事件関係者として見聞きするうちに、不自然な点をいくつか発見し、その謎にせまっていく。そして、天才的な頭脳で真相を解明していくのだが・・。

犯行が行われた動機と、その計画を知った時、幾重に重なった人々の悲しい秘密と思いが起こした事件だとわかり、どうしていくのが良いのかを考える湯川だった。

見どころ

湯川と草薙・内海刑事のチームワーク

事故死だと思われていた事件が、実際は一酸化炭素中毒による死亡でした。

その犯行はどうやっておこなわれたのか?
そしてなぜこの事件がおきたのか?
その背景には何があるのか?

警察も行き詰まる中、湯川の洞察力と頭脳が冴え渡ります。遠隔で湯川と草薙は連絡を取り合いながら、頭脳は湯川、行動は草薙・内海刑事という役割で捜査にあたります。

互いに信頼し合って事件解明に向けて進んでいくチームワークは見どころです。

川畑夫妻が決して誰にも言えない抱えている秘密とは?絡み合う人間関係

なぜ塚原?は殺されてしまったのか?その謎を追っていくと見えてくる「たくさんの人のたくさんの秘密」。
それらが連鎖するようにつながっていき、それらが泥沼へとはまってることにつきあたります。
その結果、今回の事件が起きてしまったのです。
その連鎖を知ると、胸に詰まるものがあるでしょう。

少年と事件がどう関係してくるのか?

子供嫌いの湯川だが恭平とは普通に話していることから、少し不思議な関係性を感じとることができます。
恭平のことをとても大切に優しく思う湯川に触れることができます。
そして、その恭平が今回の事件の大きな鍵を握っていることを知った湯川は、どうやってこの事件を解明していくのか。
「この事件は一人の人生をねじ曲げるかもしれない。」この湯川の一言が気になります。

成美が抱える秘密とは?

なぜこの海を愛すのか?
普通に東京の大学に行くつもりだった成美が急に玻璃ヶ浦へ移ったのはなぜか?
その答えを知った時に、悲しく切ない気持ちでいっぱいになりました。



夢幻花


どんな作品?

第26回柴田錬三郎賞受賞のヒューマンミステリー作品です。
「こんなにたくさんの時間をかけた作品はない」と東野圭吾氏は語るほどです。
殺人事件のキーワードとなる「夢幻花」を追う主人公達と刑事の視点で物語は展開していきます。
たくさんの人物(意外な人物まで)がこの「夢幻花」を中心にしてつながっていくところは驚きと感動があります。

読んだ直後の気分と感想

深い人間ドラマとそれらの交錯に、確かな読了感を得ました。
あっと驚くというよりも、それぞれの人の思いや繋がりをずっしりと感じて、驚きとともに、しみじみとした感じもしました。
登場人物達のたくさんの真実と真意をしって心が切なく、そしてどこか暖かい気持ちに。
一皮向けて前向きに進んでいこうとする主人公二人の姿がなんか輝いて見えました。

あらすじ

秋山莉乃は水泳オリンピック選手として注目されていたが、あることがきっかけでその夢を断念し、特にやりたいこともなく毎日を過ごしていた。
親戚の尚人が飛び降り自殺したことを知った莉乃はお通夜に向かう。
そこで、祖父・秋山周治と再会する。

周治が家の庭でいろいろな花を育てていることを知った莉乃は見物に行くことにした。
そこにはたくさんの綺麗な花が並び、素敵な写真もあったことから、これはぜひにとブログをつけ始めることに。
通い始めて2ヶ月後、綺麗な黄色い花が咲いた。
莉乃はこの花をブログに載せようとするが、周治にとめられる。
そんなことをしたら、大変な騒ぎになるかもしれないという。
この件は、二人の秘密としてそのままにしておくことになった。

後日再び莉乃が周治宅を訪問すると、そこには周治の遺体が横たわっていた。
殺人事件として捜査が進められることに。

現場は荒らされて、手帳などが盗まれていることから、警察は物取りの犯行と判断していた。

莉乃は周治は科学の力で新種の花を開発する仕事をしていたことを知る。

黄色い花の鉢植えが盗まれていることに気付いた莉乃はこのことが事件に関係しているのではないかと思い、この謎の黄色い花の写真をブログにアップして情報を求めた。

翌日、蒲生要介と名乗る人物から連絡がはいる。直接会って話をすると、この花には関わらないように強く言われる。それが莉乃の為だと。

納得のいかない莉乃は再度「黄色い花」のことを聞き出すために、蒲生要介の自宅を訪問する。そこで、弟の蒼太と出会う。要介の名刺の内容は嘘だったことを知り、驚く。

蒲生蒼太は大阪の大学で原子力の研究をしていた。父の葬儀のため東京の自宅に帰ってきていたのだ。
「黄色い花」の話や兄の不審な行動を聞いて、莉乃と共に幻の「黄色い花」について調べ始めるのだった。

謎を追いかけるたびに、話は大きく展開していき、五十年前の残酷な事件へとつながっていく。

幻の花「黄色い朝顔」を中心にたくさんの登場人物が交錯する中、明かされる殺人事件の真相と「黄色い朝顔」をめぐる全貌とは一体何なのか?

見どころ

黄色い朝顔の謎

江戸時代には存在していたという黄色い朝顔だが、今は現存していない幻の花とされています。
この黄色い朝顔をめぐってその周りでは事件や事故が発生する。不吉な花です。

この黄色い朝顔は一体どこでどうやって作られたのか。その謎を追っていくと、新なる大きな謎が顔を現してきます。

祖父・周治殺害の犯人とその動機は?

なぜおじいさんは黄色い朝顔を育てていたのか?
何が原因で殺されてしまったのか?
黄色い朝顔の謎をといていくと、おじいさんの殺人事件の真相も明らかになってきます。

蒼太の初恋の相手・伊庭孝美の存在

子供の頃に、朝顔市で出会った女性・孝美。
親の反対で連絡をとることがなくなった彼女だが、今回の事件を追っていると、再び蒼太は彼女に出会うことになります。
別人かとも思われたが、蒼太は孝美だと確信。
すると、またしても彼女は彼の前から姿を消してしまいました。
果たして彼女の目的は一体何なのだろうか?

朝顔を中心に様々な人が絡み合っている関係

散らばっている一見関係なさそうなそれぞれのストーリーが「黄色い朝顔」で全部つながっていく過程はとても面白いです。
蒲生要介が陰で動いている目的とは何なのか?
伊庭孝美は何をしようとしているのか?
自殺した尚人の原因はなんだったのか?

 

赤い指


どんな作品?

東野圭吾で有名なキャラクター・加賀恭一郎シリーズ。
絡み合った人間関係と人間心理、それを見事に描写している作品です。
ストーリーは、最初に犯人がわかり、それを加賀刑事が次々と解明し、犯人を追い詰めていく形式です。

ラスト数ページでさらに驚く展開に。
犯人と刑事の2視点を交互に物語は展開されていきます。
良いも悪いもふくめた多くの「人間らしさ」がうまく描写され、散りばめられています。
その巧みさに自然と惹き込まれます。

社会派テーマとして「親の介護」という要素も入ってきており、考えさせられる作品となっています。

読んだ直後の気分・感想は?

ラストで明かされる本当の真実に、驚くとともにとても胸が締め付けられました。
家族を思う深い愛情に、涙。
加賀刑事の洞察力で次々と真相を解き明かしていくスピード感にとても胸が躍り、そしてラストにはじんわりと心に染みわたる、切なくそして温かい気持ちが溢れていました。
読んだ後に、家族に一言メールしている自分がそこにいました。

あらすじ

7歳の少女の遺体が住宅街にある公園のトイレで発見された。

夫・前原昭夫は妻・八重子から「すぐに帰ってきてほしい」と電話をもらう。
何が起きたのかもうまく離せない八重子。

昭夫は仕事を切り上げ、帰宅をした。
するとそこには少女の遺体が横たわっていた。

八重子に事情を聞くと、息子がどうやら殺したらしいということだった。

息子は引きこもりがちで感情のコントロールがうまくいかず、全ては周りのせいだと、自分が殺した現実から逃げ込んで部屋に閉じこもっていた。

昭夫は警察に連絡しようとするが、八重子がとめる。
息子の未来はどうなるの?散々話しあった結果、遺体隠蔽をして、息子をかばうことに。
こうして、家族で警察から逃げ切る計画がスタートした。

深夜に遺体を入れた段ボールを自転車にのせて、公園のトイレへ置きにいく昭夫。
証拠が残らないように、一つ一つ気づいたところを消そうとするも、次々とやってくる難題にあせる昭夫。
とにかくやり抜くしかない、押し通すしかないとひたすらに遂行するのだった。

そして、翌早朝に通りかかった近隣住民によって少女の遺体は発見される。
捜査にあたることになったのは、加賀恭一郎刑事。東野圭吾作品に登場する有名なキャラクターの一人だ。突出した、洞察力、推理力に加えて、人情味溢れる人柄。

パートナーとともに近隣への聞き込みを始めると、鋭い洞察力で早々に前原家が怪しいと感づく。
前原家は昭夫、八重子、息子、昭夫の母・政恵の四人で住んでいた。政恵は痴呆が進行しており、息子は引きこもりがちで人とのコミュニケーションがとりづらいといったように、複雑な家庭環境だった。

捜査が進み、警察がたびたび訪れる状況に気が気でない昭夫。
ついにはこのまま隠し通せないと追い詰められた昭夫は、ある恐ろしい計画を思いつくのだった。自分でも震えるほどに。

見どころ

家族に隠されている真実は何か?

家族内のリアリティある関係が物語が始まるとともに描かれていきます。
そんな家族内で起きた殺人。
家族の狼狽や焦りから始まり、どういう風に事件が展開していくのか?は大きな見どころの一つだと思います。

昭夫を中心に家族VS刑事とのチェイスが始まるのですが、この事件がきっかけとなり今まで隠されていたことがどんどんと噴出し、最後には驚きの秘密が明らかになります。

その真実と、その背景にあるものは?

巧みな人間心理描写

犯行側である昭夫の心理描写がとにかく面白い。
決して良い感情だけでなく、負の感情もたくさんあるのですが、その一つ一つが人間としてとてもリアルで、思わずひきこまれました。

例えば、昭夫はやることなすこと問題を先延ばしにしてきた自分にいつも後悔している。
そんな昭夫も目の前の問題から逃げ出して、放り出している息子にイライラしている。

見ているこちらとしては似たもの親子だなとついついツッコミたくなるほどです。

加賀刑事の「人」を大事にした彼なりのアプローチ

加賀刑事がどんどんと犯人を追い詰めていく展開は、申し分なくスリリングで面白いです!
しかし、ただ解決するだけでなく、犯人を「人」として見つめる優しさ溢れるアプローチも作品の見どころではないかと思います。

最後に解決する時には、加賀刑事らしい温かみのある解決の仕方にとても感動されられました。

事件が解決する際に、加賀の甥であり、新人パートナーにかける言葉、
「いずれ君にもわかる。だけどこれだけはいっておこう。刑事というものは、真相を解明すればいいというものではない。いつ解明するか、どのようにして解明するか、ということも大切なんだ」

とても深いです。

 

悪意


どんな作品?

「犯人」ではなく「動機」を推理していくミステリー作品です。
犯人は早々に分かるのですが、その動機が分からない。
なぜ、殺人事件を起こしたのか?それを「犯人の手記」と「加賀刑事」2つの視点から追いかけていくというストーリです。

犯人による手記によって少しづつ犯行動機が語られていき、それに対して加賀刑事の考察が追っかけていく。
この繰り返しで物語は進んでいきます。
真の犯行動機が解明された時の衝撃はすごいの一言です。

読んだ直後の気分・感想は?

とにかく犯人・野々口にしてやられた!といった感想です。
注意しながら物語と一緒に動機を考えていったけれど、そんなことは一瞬で吹き飛ばされました。
モヤモヤした感じはなく、爽快感を感じるくらいでした。
加賀刑事の真実を突き詰めていくスピード感と洞察力に胸躍らされます。

犯人と被害者の関係についてが謎の大きな要素なのですが、これに関しても何が本当なのか?と翻弄されまくりでした。

あらすじ

人気作家の日高邦彦が自宅で殺された。

第一発見者は、妻の理恵と友人の野々口修。捜査するのは加賀恭一郎刑事。

すると、犯行当時の様子を日高は手記として記録していたことが判明する。
加賀はその手記を野々口に見せてもらうようにお願いし、手記を元に事件の真相解明に乗り出した。

しかし、加賀は必ずしもこの手記が真相を語っているとは限らないと、自分なりに仮説を立てながら検証し、事件の真相に迫う。
そして、加賀は、野々口が犯人ではないか?と考えた。
野々口にはアリバイがあったが、加賀は見事な洞察力と推理で、そのアリバイトリックを見事に見破る。

しかし、ここからがこの作品の本題。
肝心の動機がさっぱり分からない。

「なぜ、野々口は日高を殺したのか?」

この謎を解くため、加賀はさらに捜査を進めていくことに。

その動機を語ること口を閉ざしたまま固く拒否し続ける野々口。
しかし、彼は、それを手記として伝えたいと申しでたので、加賀はそれを待つことにした。

その手記の内容から、日高の元妻・初美と野々口の不倫関係の存在が浮かび上がる。

そして、日高にバレているのではないか?このままもう二人は会えなくなるのではないか?と怯え考えた二人は、日高を共謀して殺そうとするのだが・・・。

「ゴーストライターの存在」や「子供の頃のいじめ」など動機は太く長くつながっていく。

しかし最終的に、手記の内容、物的証拠、聞き込みなどによる情報から、加賀は大きな違和感を感じるように。
納得がいかない加賀は捜査を続けると、ついに真の動機につきあたるのだった。

見どころ

2つの視点から展開される真の犯行動機は何か?

手記と加賀2つの視点から、犯行動機が何だったのか?を追っていく構成です。

手記は整然と書かれているので、説得力があり、必ずしも真実とは限らないのだけれど、ついついそれを前提として読んでしまうところにトリックがあります。
ただ、そうやって気をつけて追いかけていっても、最後には「やられた!」という展開になると思います。
とても巧みにリードされていく。

「猫の殺害」のくだりの意味を知った時には鳥肌がたちました。

日高と野々口の関係は一体どんな関係だったのか?

なぜ殺害したのかを追いながら、読み進めていくにつれて、女性関係や学生時代の話などが出てきます。
その度に、2人の関係性が変化していくところが読んでいて面白いと感じました。
そしてそれらの関係が複雑に絡みあって、どうやって殺人の動機へと繋がっていくのか。

動機を探しながら、そこから見えてくる人間の弱さや自分勝手さ、身を守るための無意識な計算など、巧みな心理描写も見どころです。

加賀の見事なまでの洞察力と推理力

些細な疑問が積み重なって立てられる仮説や、その仮説の証明は、思わず「すごい!」と思ってしまいます。
その流れは読んでいて本当に気持ちが良いです。



ラプラスの魔女


どんな作品?

東野圭吾さんのデビュー30周年記念の作品で、映画化もされました。

自然現象を利用した壮大なSFミステリーです。
普通に考えたら有り得ない犯行であり、超能力ともいえる力で、殺人事件をおこす。
しかし、科学を根拠に論理的に解明されていく犯行方法はとてもリアリテイがあり、納得してしまうほどです。

複数人の視点から事件を見つめていき、それらが集約するときに、驚きの事実が待ち受けています。
登場人物が多くたくさんの視点が出てくるけど、気にならないくらいうまく語られていきます。
よくある「これは誰だっけ?」というのがほぼありませんでした。

読んだ直後の気分・感想は?

スケールの大きな物語に、心踊らされました。
一見するとバラバラな事象が見事に繋がった時の爽快感がすごかったです。
そしてとにかく科学の話に圧倒されました。

「そんなことがありえるのか?」と思ったが、読み進めるうちに、なるほど、すごいなと。

ラストはハリウッド映画を見ているような迫力とダイナミックさを感じました。ハラハラドキドキ。楽しかったです。

あらすじ

とある温泉街で有名な映画プロデューサー・水城義郎が死亡した。
死因は硫化水素だった。
歳の離れた妻・千佐都が財産目当てで殺したのではないか?と疑われるものの、殺人を起こすにはあまりにも不可能な環境であった。

現場検証に協力することとなった科学者・青江は、他の場所でも全く同じ原因・状況で人が死亡してることを発見する。
すると、その二つの現場で、同じ少女を見かける。

気になった青江は少女・羽原円華を追っかけていく。
見ていると、彼女の周りで不思議な現象が起きていることに気づくのだが、彼女の周りにいつもいる人たちはいたって普通のようだった。
一体彼女は何者なのか?

一方、捜査担当の中岡刑事は同じように、この事件に違和感を持ち、捜査をすすめる。
二人がいきついたところは、なんとその彼女には自然を予測する力があるということだった。
そして、その力をもった人物がもう一人いることも・・・。

中岡刑事はなんとか意図的に犯行が可能なのではないか?と捜査をすすめていきます。

円華の他にもいた不思議な力をもった青年・謙人。彼は、子供の頃に硫化水素ガス中毒の事故に巻き込まれ植物状態となった経験があった。
しかし、とある研究施設で命を助けられる。

植物状態だった少年の脳に、特殊な手術を施し、それは見事に成功をおさめて、回復に至ったのだ。
しかし、それだけでなく、通常の人では考えられないほどの能力を手に入れることになった。

犯行はどのようにして行われたのか?
そして、なぜ事件をおこして回るのか?

その犯行動機は一体何なのか?

見どころ

複数の視点から追いかける事件の真相

主人公の少女の感情や心理描写はなく、複数の登場人物からの視点で想像していくストーリー展開です。
登場人物達の思惑などが最後に収縮されていく様子は、楽しいし、読む手が止まりません。
登場人物が多く、たくさんの視点が出てきますが、気にならないくらいうまく語られています。
登場人物に対して思っていたイメージがパタッとある時、ひっくり返ります。
犯人の動機も、「こんな流れなのかなー」と思いながら読んでいると、突然後ろから本筋が登場してきた、そんな感覚に陥るのではないでしょうか。

超能力ともいえる大胆な犯行

現実的には考えられないようなトリックですが、作品の中では不思議と納得できてしまう。
そして、大胆さがあります。
仮説の段階では、「そんなこと不可能でしょ」と思えるような推理が飛びかいますが、物語を進めるにつれて、研究所を舞台に、科学的な根拠を元に語られていく話には、唸るばかりです。
自然とリアルに感じてしまうことでしょう。

スケールの大きな場面と迫力のある描写

ただ単に謎を解いていくというだけでなく、ハリウッド映画でも見ているかのような、迫力のある犯行や展開は、読んでいて胸が踊りました。
殺人が行われた方法を実際に証明して見せる時の描写は見事の一言。
目の前にその不思議な光景が鮮明に見えるくらい巧みに描かれています。

最後の犯人との対峙の場面も、全てを巻き込む迫力ある描写は読んでいてドキドキすること間違いないでしょう。

 

ダイイング・アイ


どんな作品?

累計発行部数が100万部を突破している人気作品です。
2019年には、WOWOWで実写ドラマ化されました。
ミステリー小説家がホラー小説を書くとこんな感じになるのかと思わせてくれた作品。
感動しました。

主人公の視点でストーリーは進められていき、抜け落ちた記憶の断片を探し求めて追いかけていくと、予想しなかった事実が次々と明らかになり、グイグイと作品に引き込まれていくことでしょう。

読んだ直後の気分・感想は?

怖い。ホラー小説を読んだ後みたい。
途中までは謎を追っていくミステリー小説のように読み進めていったが、ストーリーが進むにつれて、仄暗いダークな雰囲気がまとわりつく感じになっていきました。

死者の怨念。トリックを暴くというようなミステリー小説の最後ではなく、東野圭吾監督のホラー作品を見たような気持ちになりました。
夏には良いかもしれないですね。
ダイイング・アイの意味がわかるとさらに震えます。

あらすじ

BARで働く主人公・信介は、仕事帰りに何者かによって背後から殴られ重傷を負う。

店内や持ち物から何も盗まれていないところから警察は怨恨の可能性が高いと判断。
誰かに恨まれるような覚えはなく、釈然としない信介。
すると、犯人は岸中玲二だと聞かされる。刑事は一年前に信助が起こした交通事故の被害者・岸中美奈絵の夫だという。

しかし、今まで全くといっていいほど頭をよぎることはなく、その事故の内容をきいても断片的にしか思い出せない。
そして、信介は異変にきづく。
交通事故の記憶だけが抜け落ちていたのだ。
靄がかかったように断片的にしか思い出せない。

犯人・玲二は妻を殺された復讐のために信介を襲ったということだった。
玲二は犯行後、服毒自殺をはかり、遺書を残して人生を終えたという。

無事に回復し退院をした信介は、恋人・成美とともに帰宅した。
すると、雑然としていた部屋の中はきれいに片付けられているどころか家具の配置まで変わっており、別人の部屋みたいになっていた。
家事が得意ではない成美がおこなってくれたらしい。

自分はこれからどうしようとしていたのか?
独立をしてお店を出そうとでも考えていたのだろうか?
お金・・?やはり思い出せない。
通帳を確認してみると、残高はほぼないに等しかった。
自分は何を考え、何をしようとしていたのか?
やはり靄がかかり思い出せない。

ある日お店に喪服の女性・瑠璃子が現れた。常連ではなく、不思議な雰囲気を魅力を醸し出している妖艶な女性だった。
その後、数回に渡ってお店に現れる彼女に信介は心が釘付けになっていく。

事故の記憶を取り戻すべく、パズルのピースを集めはじめた信介は、その過程でで信介を襲った犯人・玲二のスケッチブックを目にする。

玲二はマネキン会社に勤めており、そのスケッチブックには見惚れるほどの美しいマネキンが描かれていた。
そして、そこに最後に描かれていたマネキンのスケッチを見て、ギクリととまった。
他とは違い最後のその絵には、生の気配とともに死の気配もがたちこめており、目が離せなくなったのだ。

事故の記憶を集めるために奔走していく信介のまわりでは様々なことが起こり始める。

恋人の突然の失踪や、度々あらわれる謎の女性・瑠璃子。そして、交通事故がどうやら普通の事故ではないらしいことがわかり始める。

事故の真相が明らかになった時、物語はさらなる展開をみせる。

見どころ

失った交通事故の記憶

何者かに殴られて瀕死の状態から回復した信介ですが、過去におこした交通事故の記憶をなくしてしまいます。
自分を襲った犯人はこの事故の被害者の夫。
事故のことが思い出せず、気になってしょうがない信介は記憶の欠片は拾い集めに動き出しますが、その真相とは何か?

消えた恋人の謎

信介にも職場にも嘘をついて、忽然と姿を消した信介の彼女・成美。
特に変な様子をみせる感じでもなかっただけに何がおこったのかまったくわからない信介。
しかし、記憶をたどっていくうちに成美の裏の顔が見えてくるのです。

妖艶な女性の謎

喪服姿で突然に信介のお店に来店した女性。
独特で妖艶な雰囲気に、まるでマネキンのような整った美しさ。
しかしそれ以外は全くの謎に包まれた女性。
一体彼女は何者なのか?
信介は彼女のことを調べ始めるたびにどんどんと深みにはまっていきます。

もう一人の交通事故加害者の謎

交通事故の真相を追っていくと、新たな関係者が登場してきます。
すると、単なる普通の交通事故ではないことが判明。
その人物達は一体何者なのか?
交通事故の周りで起きたいくつかの謎が解明されていきます。

タイトルの「ダイイング・アイ」の意味とは?

物語全般を通してキーワードとして登場する「視線」。
瑠璃子にしかり、マネキンのスケッチにしかり。
ラストに起きる衝撃の出来事を読むと、背筋が凍ります。

 

 

白夜行


どんな作品?

東野圭吾といえばこの作品!と推す方はとても多く、ドラマ化・映画化もされた大人気作品です。
長文にはなりますが、思っている以上に次へ次へと自然に読み進めていける作品だと思います。

物語を進めていくうちに、主人公二人の「深い闇」に心が引きつけられます。
あっと驚くようなトリックというよりは、人間心理をテーマにした重い話です。

ミステリーとして事件の真相を追っていく楽しみはもちろんのこと、主人公二人を他者視点から巧みに描写されているところはすごいの一言です。
ダークではあるものの、心がグイグいと引きよせられる、大きなパワーをもった作品です。

読んだ直後の気分・感想は?

本作の魅力とパワーは、読んだ後には「強烈な余韻」を与えてくれます。
なんともいえないずっしりとした重い読了感は、時間がゆっくりと流れるような感覚になりました。
2人の人生や生き方にたいして考えさせられました。
特に桐原洋介はどんな気持ちだったのか、想像せずにはいられませんでした。

あらすじ

大阪の廃墟ビルで質屋・桐原洋介が殺された。

容疑者としてあがったのが、質屋の客・西本文代という女性だった。
桐原洋介と西本文代はお金で愛人関係となり、それが原因で西本文代に殺されてしまったのではないかと警察は推測。
しかし、捜査が進むにつれて、西本文代には完璧なアリバイがあることがわかる。

次の容疑者としてあがったのが、桐原洋介の妻・弥生子と質屋の従業員・松浦勇だった。
この二人に関しても捜査の結果、容疑者候補から外れる結果となった。

なかなか捜査が進展しない中、西本文代には交際男性の寺崎という男性がいるということがわかる。
そして、この寺崎と共犯で桐原陽介を殺害したのではないか?と西本文代に再び容疑がかかる。

ところが、決定的な証拠があがならないまま、寺崎と西本文代がふたりとも死亡してしまった。
ふたりとも事故死で死亡となっていたが、西本文代には不審な点が数あり、自殺の可能性も捨てきれなかった。
そして、最大の容疑者であるふたりが亡くなったことにより、事件はそのまま迷宮入りしてしまったのである。

捜査担当であった笹垣刑事は、被害者桐原洋介の息子・亮司と文代の娘・雪穂のふたりの様子が奇妙なことにひっかかりを抱いていた。

事件から4年後、雪穂は、親戚の唐沢礼子の養女となり、唐沢雪穂として女子中学校に通っていた。
その学校で雪穂の過去におきた身の回りのことがまことしやかに噂されはじめていた。
その噂を広めていたのが、雪穂と同学年の藤村都子だった。

一方、桐原亮司は地元の中学校に通っていた。
ある時、桐原の同級生・菊池文彦は、4年前の事件当時に撮られた一枚の写真を亮司に見せる。
それは、亮司の母・弥生子と従業員・松浦勇がラブホテルから出てくる写真だった。
菊池は二人が不倫関係で、それを知られてしまった桐原洋介を二人で殺害したのではないか?という当時の噂を覚えていたのである。亮司は否定するものの、その写真は事実としか思えなかった。

やがて、噂を広めていた雪歩の同級生・藤村都子が襲われる事件が起きる。
その現場にキーホルダーが落ちていたことから、犯人と疑われたのがキーホルダーの持ち主の菊池だった。

雪穂と亮司の過去をほじくり返そうとしていた二人が事件の被害者とその容疑者になったのである。

捜査がすすむと、菊池の容疑は晴れるのだが、これをきっかけに亮司と雪歩の過去の話が持ち上がることはなくなった。

その後も、亮司と雪穂それぞれのストーリーが並行して進んでいく。
二人の周りにはいくつも不可解な事件が見え隠れするものの、うまい具合に事件や問題に合う当人が関わることなく解決されていく。
二人がそれぞれに関与しているような描写があるものの、はっきりとは分からないまま時は過ぎていくのだった。

そんな二人の前に再び現れたのが、かつて質屋殺人事件を担当していた笹垣刑事だった。
そして、彼だけは、亮司や雪穂の周りで次々と起こる事件の裏で、この二人がつながっていることに気づいて、彼らを追い続けていた。

捜査を進めていくうちに、二人の身の回りにおこる不可解な事件は過去の質屋殺人事件につながっていると確信し、笹垣はさらに奔走する。

そして、質屋殺人事件の真相や二人の本当の関係性、数々の不可解な事件の真相にたどり着くのだが・・。

見どころ

謎を追いかける楽しさと全体的に漂うダークな魅力

題名の通り、ずっとなんとも言えないダークな感情が漂ったまま一気に読み進めていった感じでした。
そして、読んだ後には、しばらく余韻にひたるというか。ひたらざるをえないというか。

ミステリーとしてたくさんの伏線が散りばめられていて、あっちのピースがこっちのピースにくっつのか!と気づいた時は驚くとともに、それが後半から次々と出てくるので、どんどん読む手が進んでいきました。

ただ、ミステリーとしての楽しさはあるものの、作品全体に漂うダーク感はずっとまとわりついてきます。

ですが、それがたまらない大きな「魅力」で、この作品に引き込まれる・没頭してしまう理由なのではないかと思います。

亮司と雪穂の関係性

主人公二人の感情が一切描写されないとうい手法で描かれています。
その為、ふたりがどんな人物なのかを周りの人たちの視点から、読者自身が想像していくことになります。
二人は一体どんな人物なのか?

様々な登場人物の視点から物語を読み進めていくうちに、二人が持つ「深い闇」がわかってきます。

質屋殺人事件をきっかけに、二人がどんな風に人生を過ごして行っているのかを想像しながら進めていきます。
二人のストーリーに共通して登場してくるいくつかの出来事が、最後の方には段々とつながっていき、そして立体的になっていきます。

雪歩の魅力

誰もが心惹かれるずば抜けた容姿や、独特なオーラを持つ彼女。
しかし、裏では、冷静さと残酷・狡猾さを抱え持っている彼女の魅力から目が離せなくなりました。
雪穂は亮司を愛していたのか?
信用できる人というだけで、利用していただけではないのか?
自分は本当に一人になってしまうと怯えていたのは、演技ではなく本当だったのではないか?
様々な憶測が自然と飛び交ってしまいます。

深い闇と愛

タイトルどおり、ふたりがセリフで「白夜の中をずっと生きている」ということを言う場面がそれぞれあるのですが、そのセリフを聞く頃には、このふたりは一体どんな経験をして、何を抱えているのか?というところに引き寄せられていきました。
亮司は父親の獣姿に愕然とし、母親からは愛されていなかった。
そんな中、世の中の闇ととともに、必死で生きようとする姿に、心が動かされました。

一人で生きると言うことを体現してみせていた。誰も信用はせず、雪穂だけは陰で支えていた、その献身さも胸をうちます。

 

 

手紙


どんな作品?

ミステリーではなく、「犯罪加害者とその家族」をテーマに描いた社会派ヒューマンドラマ。
弟・直貴思いの兄・剛志が強盗殺人を犯してしまい、その事件の影響を受けて、直貴が苦しみながらも生きていくという話。
直貴の兄・剛志への揺れる思いと、現実の残酷さが心に突き刺さる作品です。

読んだ直後の気分・感想は?

重い。
けれども、読んで良かったと素直に思いました。
読了感は大きいです。
読んだ後には静かに本を閉じて、しばらく余韻にひたってしまいました。
自分が同じ環境だったらこんなに強く生きられたのかなと。
考えさせられました。

あらすじ

強盗殺人を犯して逮捕された兄・武島剛志。
その動機は弟・直貴を大学へ進学させるための費用の捻出だった。

「学歴がなかったせいで夫は早死にした」と亡き母は考えていた。
そして子供には絶対に大学進学をしてもらうために、身を粉にして働いていたのだ。

その意思を継ぐように剛は自分の頭では無理だからと、弟のために必死で体をはって働いていた。
しかし、体を壊し働くこともできなくなった剛は、引越しの仕事で過去に訪れたことのあるお婆さんの家を思い出したのだった。
お婆さんを殺す気はなかったのだが、犯行を目撃され警察に通報されるのを恐れた剛志は、衝動的に殺害してしまう。

警察に呼び出されて、話を聞かされた直貴は、寝耳に水で何が何だかわからず困惑する。
しかし、時間がすすみ現実を知るにつれて、自分は「強盗殺人犯の弟」になったのだと実感していくことになる。

最初は大学へ行くことは諦め、働きに出ていた。
しかしそこで出会った同僚の「普通の連中に比べりゃとんでもなくきつい道かもしれないけど、道がなくなっちまったわけではないと思うけどな」と言う言葉とともに、大学進学へのきっかけを残してくれた彼の気持ちに後押しされて、なんとか通信制の大学へ進学を果たす直貴だった。

素敵な歌声を才能として持っていた彼は、それを見出した寺尾に誘われてバンド活動を始めた。寺尾の想像通り、直貴の歌声はたくさんに人たちを魅了していくのだった。
そしてスカウトの目にとまり、いざデビューというところで、「強盗殺人犯の弟」というレッテルにより、断念させられることに。
仲間の夢を壊さないためにも、直貴は自ら身をひくのだった。

世の中と距離を置いて生きていた直貴は、ほどなくして自然と好きになれる女性と出会う。
しかし、相手は裕福な育ちのご令嬢。ここでも、「強盗殺人犯の弟」に邪魔をされてしまう。
自分は所詮、殺人犯の弟。幸せになんかなれるはずもないと、追い込まれた直貴は自ら別れを選びます。
そして、相手の幸せを願って去るのでした。

大学を卒業し、なんとか就職するも・・

直貴が幸せを夢見ると途端に現れて邪魔をしてくる「強盗殺人犯の弟」というレッテル。
この苦しみに耐えて、翻弄されながらすすんでいく直貴は、どのような覚悟と生き方を選ぶのか。

見どころ

「強盗殺人犯の弟」とうレッテルの恐ろしさ

ボディーブローのようにジワジワと直貴の夢を奪い取り、また底へ突き落とすという展開が淡々と続いていきます。
刑務所に入ったあとの剛志の気持ちは、「手紙」という形で、定期的に登場。
その手紙と交互に直貴のストーリが進んでいきます。

その過程で、直貴は現実の残酷さを痛感しながらも、自分なりに前に進もうともがいていく姿が描かれています。
闇が目の前に常にモヤモヤと取り憑いている感じは読んでいて、苦しくなりながらも、この作品の大きな魅力でありパワーとなっていると感じます。

揺れる兄・剛志への思いを巧みに描いた心理描写

直貴が夢や未来を見る度に必ず立ち塞がってくる「強盗殺人犯の弟」という壁が、読んでいて心が折れそうになるくらい見事に描かれています。
「どうせ上手くいかない。結末は目にみえている。」と直貴が思ってしまうのも無理はないと思えるほどに。

途中、苦しい時にやってくる能天気な剛志の手紙にイライラすることでしょう。
しかし、剛志の溢れんばかりの愛と優しを知っている直貴は、憎むに憎みきれないのです。

直貴が「兄の優しさ」を分かりながらも、縁を切りたいという葛藤に悩み進んでいく姿から目が離せません。

兄・剛志の弟へ対する愛と優しさ

緊迫した犯行中でさえも弟のことを考えて、早く逃げずに、弟が好きだと思っていた甘栗をも盗んでしまう、優しさ故の剛志の天然な馬鹿さかげん。
でもいい人オーラはこれでもかと伝わってくるし、直貴への愛や優しさが読んでるいるこちらの気持ちにまで流れ込んできます。

厳しい現実とどう向き合うか

当たり前のように「強盗殺人犯の弟」ということを前提に恋愛も、仕事もいつの間にか考えて選択して行動してしまう直貴。それに気づいてるいるのかいないのか。
でも、逃れないなれない現実。悲しいです。

強盗殺人犯と同じ血が流れている。
それだけで、いかに世間を怖がらせるかということをまざまざと見せつけられます。
自分でもいざそのような人が周りにいたら、どう接したらいいのか、分かりません・・。

 

最後に

「【東野圭吾厳選10作品】初心者におすすめの作品をあらすじ付きでご紹介!」と題して、おすすめの本を選ばせていただきました。

こちらの本たちとの出会いをきっかけに、東野圭吾ワールドにはまって頂けたら嬉しいことこの上なしです!

最後までお読みいただき、ありがとうございました!