ミステリー小説

ラプラス の魔女(小説)の感想とあらすじをご紹介!

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今回は、東野圭吾さんの小説『ラプラスの魔女』の感想とあらすじをお伝えしたいと思います。

この作品はSFミステリーとでもいうべき作品で、
タイトルである「ラプラスの魔女」とは、フランスの数学者・天文学者ラプラスが自著で述べた超越的存在である「ラプラスの悪魔」を題材にしています。

「ある瞬間におけるすべての原子の位置と運動量を知り得る存在がいるとすると、法則にしたがって、その後の状態をすべて計算し、未来を完全に予測することができる」というもの。

ざっくりいうと、「未来を予測できる能力」ですね。

このテーマがどう作品と絡んでくるのかが見どころです。

主なネタバレは避けますが、まだ読んでいない方はご注意くださいませ。

あらすじ

有名な映画プロデューサー・水城が、とある温泉街で死亡した。
死因は硫化水素ガス中毒だった。

歳の離れた妻・千佐都が財産目当てで夫を殺したのではないか?と疑惑の目が向けられる。
しかし、実際に彼を殺すことはとてもじゃないが、不可能だと思える状況だった。

現場検証に協力することとなった科学者・青江は、遠く離れた他の場所(温泉街)でも全く同じ原因・状況で人が死亡していることを知る。
そして、そちらの現場検証に向かうと、前の温泉街でも見かけた一人の少女を発見するのだった。

気になった青江はその少女・羽原円華を追いかけていく。
様子をうかがっていると、彼女の周りで不思議な現象がいくつも起きていることに青江は気づく。

しかし、彼女と一緒にいつもいる人達は、何事もないかのように、いたって普通な様子であった。
青江は一体彼女は何者なのか?と探りはじめる。

一方、捜査担当の中岡刑事も同じように、この不可解な事件に違和感を持ち、捜査をすすめていた。
青江と中岡刑事が行き着いた結論は、なんと円華には自然の動きを予測する力があるのではないかということだった。
そして、その力をもった人物がもう一人いることを知った。

常識では考えられない事件ではあるが、中岡刑事は犯行が可能な方法が何かあるのではないか?と捜査をすすめていきます。

円華の他にもいた不思議な力をもった青年・謙人
彼は、子供の頃に家族とともに、硫化水素ガス中毒の事故に巻き込まれた経験を持っていた。

彼一人、なんとか生き延びたものの、植物状態であった。
しかし、ある研究施設が彼に手を差し伸べる。

植物状態だった謙人の脳に、特殊な手術を施し、見事成功。
彼はその後、驚異的なスピードで回復していくのだった。

そして、それだけではなく、謙人は通常の人では考えられない能力を手に入れることになる

不思議な能力を持つ二人の関係性、温泉街での殺人事件、謙人の過去。

すべてがつながり明らかになったとき、衝撃のラストが待っていた。

ラプラスの魔女の感想

「ラプラスの魔女」という言葉の意味自体を知らなかったので、それをテーマにされている段階で、すでに興味津々でした。

円華が、こぼれた水がどこで止まるかを予測して、携帯をスッとよけるシーンはとても印象的でした。
そんな能力があったら、僕は一体何に使うだろうかとふと考えが飛んだりも。

「ラプラスの悪魔」の力を手に入れたら、世の中は楽しいのだろうか?
基本、全てが予測できてしまうので、うらやましい能力である反面、人生そのものがつまらなくなったりもしてしまうのかなと。

ただ、作中の円華も人間の気持ちはわからないので、そういう意味では救いなのかも知れませんね。

温泉街の殺人方法については、一般的には超常現象というぶっ飛んだ作品。
この点に関しては、すごい画期的な作品だと思いました。

純粋なミステリーとしては、賛否両論あるとは思いますが、個人的にはとても面白いミステリー作品だと思います。

実際にはありえないようなトリックも、東野圭吾さんの科学の知識と語りで、「なるほど。確かにそれはありえるかもしれない。」と思わせてしまう力量に、驚きを隠せません。

名作シリーズである、「ガリレオ」にも通じるところがあるように思えます。
「そんなばかな」という世界が、一気にリアリティある不思議な世界へと変わった瞬間でした。

そして、実際に円華が犯行のやり方を再現してみせるシーンの描写がとても綺麗で、科学者・青江と一緒に驚くことができました。

甘粕が書いたブログに仕掛けられていたトリックに気づいた時には目が点でした。
東野圭吾さんの策略にまんまと騙されました。
そこはミステリー小説の醍醐味であって、爽快感があり、面白かったですね。

自分の家族を殺した犯人がすぐそばにいたとしたら?と想像するだけでゾクッとする。
記憶をなくしたフリをしていた謙人の気持ちもわかります。
信じていた人に殺されるとは一体どんな心境なのか。とても苦しい。

映画作品を作るために、なんでもしてしまう、やばい甘粕。
彼が犯した罪は、普通に考えて、もはやサイコパスホラー映画ですね。
それぐらい犯した罪や動機が壊れています。

自分が作り上げてしまった失敗作を、一度抹消して、あらためて再構築できると思っている甘粕は想像の世界で生きているといえるでしょう。(この失敗作といっているものが普通のものではない。)

知らないことは真実とは言えず、嘘でもそれが記録され、みなが知ることでそちらが真実となるという。狂ってる。
都合のいいように、現実逃避している人間としか見えませんでした。

SF要素が強いので、最後の親子の対峙のシーンは、イメージではハリウッドアクションを勝手に想像していました。

車が家につっこむところとか、家がくずれるところとか、天候が最悪な状況とか。
そんな映像が頭にはっきり思い浮かぶくらい描写が丁寧で、勢いがあり、息詰まる感じでした。

最後に謙人が、

世界は一部の天才や、あなたのような狂った人間たちだけに動かされているわけじゃない。
一見何の変哲もなく、価値もなさそうな人々こそが重要な構成要素だ。
人間は原子だ。
一つ一つは凡庸で、無自覚に生きているだけだとしても、集合体となった時、劇的な物理法則を実現していく。
この世に存在意義のない個体などない。
ただの一つとして。

P476より引用

と言うセリフがあります。

勇気もらえる一言ですね。
謙人のセリフではありますが、東野圭吾さんからのメッセージのようにも感じられます。

おわりに

東野圭吾さんの『ラプラスの魔女』の感想とあらすじでした!

ちなみに、映画に関しては、主人公(桜井君)視点からすべてが描かれているので、わかりやすい構成になっていました。

ラストシーンも迫力満点。
キャストは、豪華すぎて驚きました。

先ほどの、謙人のセリフが響きます。
ひとりひとりが重要な構成要素だというメッセージなのかもとも思いました。

原作で印象的だった、円華が携帯をこぼれた水からよけるシーンも映像で見ると、なかなか衝撃的な映像になってましたよ。

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最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

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