ミステリー小説

ダイイング・アイ(東野圭吾)の感想!あらすじ付きでご紹介!

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今回は、東野圭吾さんの『ダイイング・アイ』をご紹介します。
累計発行部数が100万部を突破している大人気作品です。ドラマ化もされました。
ミステリー小説家がホラー小説を書くとこんな感じになるのかと思わせてくれた作品です。
とても感動しました。

ある日、突然襲われた主人公は頭部に外傷を負ったショックで、記憶喪失になってしまいます。
過去に自分が起こした交通事故が今回の事件の発端となっているため、真相を求めて、記憶を集めはじめる!というストーリーとなっています。

この作品の魅力を、核心部のネタバレはさけて、あらすじや感想とともにお伝えしたいと思います!

あらすじ

事件発生

主人公・雨村慎介は「茗荷」と言う店で働くバーテンダー。ある日、閉店間際に訪れた新規の客に、エレベーター前で背後から突然襲われてしまう。

病院のベッドで目覚める慎介。刑事が訪ねてきて、事件のことを聞かれるものの、記憶が曖昧だった。
刑事から男の写真を見せられると、「間違いない、この男だ。」と確信する慎介。
その男の名は、岸中玲二。
聞き覚えのある名前だとは思ったが、はっきりとは思い出せない慎介だった。
そして、その男は、慎介自身が一年半前に起こした交通事故の被害者・岸中美菜絵の夫だと知る。

慎介はその交通事故の記憶がすっぽりと抜け落ちていることに気づく。
さらに、2時間前にこの男の死体が発見されたことを知らされるのだった。
岸中はマネキン工房で働いていた。みずから毒を飲んで死亡したらしい。

部屋の模様替え

無事に退院をした慎介だが、あいからず事故の記憶がない。
今回の事件は、妻を殺された夫の復讐だったようだ。
タクシーに乗って帰宅すると部屋がとても綺麗に片付いていて、模様替えがなされていた。
彼女の成美は家事全般が得意ではないのだが、ここまでしてくれていたことに驚く慎介。

マネキン作品集

慎介は岸中のことが気になり、彼の家へと足を運ぶ。
するとそこで、岸中と同じ会社の人に声をかけられる。
岸中と一緒にマネキンを描いていたらしい。
荷物をもってきたが、管理人もめったにこないので、荷物をどうするか困っているとのことだった。

荷物は岸中の作品がたくさん入った作品集。
慎介はそれらを預かることにした。

帰宅して、そのマネキン作品集を見ていたところ、最後の作品を見た瞬間、慎介は固まる。
それは妻・岸中美菜絵に似せて作られたもので、とてもリアルで、まるで生きているかのような雰囲気を漂わせている。
目が離せない慎介は、しばらく放心状態になるのだった。

謎の女登場

仕事に復帰する慎介。
すると、謎の喪服の女性が来店する。
とても妖艶で魅力的な雰囲気を漂わせていた。
慎介は、一気に魅了されるのだった。

仕事を終えて、帰宅すると通帳をさがす慎介。
自分が将来どうするつもりだったのかを確認したかった。
独立するつもりだったようだが、資金は・・・?
残念ながら、通帳にほとんどお金は入っていなかった。

行方不明になる彼女

彼女・成美が仕事(ホステス)が終わっても家に帰ってこない。
成美のドレッサーの上にドライバーがあることを発見する。

次の日の正午になっても、まだ帰ってこない。
こんなことは初めてで、連絡もつかない。
慎介は成美の同僚と連絡をとり、お店を休んでいることを知る。
そして、近々お店を辞めようと考えていたらしい。

警察へ届け出をする信介だった。

交通事故の詳細

警察署で慎介が事故を起こした時にあった警官に偶然会う。
そして、事故当時の詳細を教えてもらうことになった。
警官は、あの事故は特殊な事故だったという。

事故当日の夜、慎介は車で運転中、左前の自転車を追い抜こうとして、あやまって接触
そして、自転車は吹き飛ばされた。
慎介の車はハンドルを大きく逆に切って、対向車線にはみだしていた。

その時はまだたいしたことはなかったようだが、その後、大きな事故が起きたという。
対向車線を走ってきた赤いフェラーリが慎介の車をよけようとあわててハンドルをきった。
そして、その車が自転車に乗っていた女性へ向かってしまい、女性は壁と車に挟まれて潰されてしまったということだった。

もう一人の加害者

事故当時のもう一人の加害者(フェラーリに乗っていた人物)を知りたかった慎介は、前の職場のオーナーであり、今もお世話になっている江島に聞いてみた。慎介が乗っていた車の持ち主でもある。

そして、相手の名前は、木内春彦という人物だということがわかった。
いざ調べ始めると、謎だらけの人物だということがわかる。
帝都建設という会社のサラリーマンなのに、金回りはとてもよく、高級クラブで一晩に20万円もいくこともあるようだった。しかし、そのお金の出どころはつかめない。

同じ加害者(特に相手は岸本美菜絵を殺してしまった本人)なのに、なぜそんなに罪の意識を持たずに豪遊できる気分なのかも、慎介には理解できなかった。

謎の鍵

西麻布署の小塚が慎介の家にやってきた。
あらためて事件のことを聞きたいということだった。
岸中は二本の鍵をもっていて、一つは自宅の鍵だが、もう一つは謎の鍵。
岸中は自宅とは別の場所をまた持っているようだった

そこの鍵がこれではないかと推測。
小塚はそれを知りたくて、あらためて事件関係者へ聞き回っていた。
そして、さらに岸中の遺体が見つかった前夜に、女性が出入りしたのを隣に住んでいる高校生が目撃したとの情報も知る。

その時はすでに小塚は死んでいたはずだった。
なぜその女性は通報しなかったのか?

慎介は岸中の家へ向かった。
そして、例の目撃証言をした高校生に接触することに成功。
詳しく話を聞き出すと、驚きの答えが返ってきた。
その女性は間違いなく、岸中玲二の妻、岸中美菜絵だったと。
幽霊・・・?

木内春彦と接触する慎介

慎介は知り合いのツテをつかって、木内と接触することに成功する。
なぜ自分だけ襲われたのかと木内に問いかける。
答えは、自分にもわからないということだった。

続いて、美菜絵の幽霊という言葉を話すと、木内はわずかに反応する。
そして、木内はこう話すのだった。
「事故のことを思い出すことはあるが、罪の意識は薄い、あんただってそうだろ?」と。

監禁

瑠璃子に読み出された慎介は、指定されたマンションへ向かうことに。
とても有名な高級タワーマンションの一室だった。

慎介は瑠璃子と行為を済ませた後、カクテルを乾杯する。
突然、眠気が襲ってきた。
意識を失う直前、慎介は思い出すのだった。
この女はあったことがあるのではなく、写真で見たんだと。

目を覚ます慎介。足首に手錠、その先には鎖。拘束されて瑠璃子の部屋に監禁されていた。
瑠璃子は岸中玲二の作ったマネキン(美菜絵に似せて作った)と同じ顔をしていた

瑠璃子は美菜絵の双子なのか?高校生が見たのは間違いなく瑠璃子だ。なぜ今頃復讐?殺せるチャンスはたくさんあったはずなのに。戻ってきた瑠璃子は、慎介が自分のことを誰なのか気づいたことを知る。
そして、また部屋から出ていくのだった。

マネキンの部屋

なんとか拘束から逃れた慎介は、最後にどうやって鍵をあけて脱出するかを考える。
そして、小塚刑事が話していた鍵のことを思い出した。
慎介は、小塚刑事に連絡を取り、謎の鍵をもって、部屋まできてもらうのだった。

小塚刑事到着。
やはり鍵はここの鍵だった。

家の中に、鍵がかかった部屋を発見。
扉を壊して侵入すると、そこはマネキンだらけの部屋だった。
マネキンたちはすべて岸中の妻・美菜絵の顔をしていた。すなわち瑠璃子の顔。
表情は色々で笑っているのもあればおこっているのもある。

岸中作品集に写っていたマネキンを発見する。
岸中は妻のマネキンをたくさん作っていたのだ。

そして、慎介はマネキンの制作日記を見つける。
ウェディングドレスのマネキンをスタートにたくさんのマネキンを作っていったようだ。
そして、ついには次のレベルへ。
よりリアルな、「動く美菜絵」を目指して作り始める。

一方、PCを調べていた小塚がひとつのファイルを見つける。
その中の一枚の写真。
それはまさしく瑠璃子だった。

消えた3000万円

自宅へ戻った慎介はわずかな記憶をたよりに、洗面所の鏡を取り外す。
そして、そこに3000万円を隠したことを思い出した。
しかし、そこには何もなかった。
成美がなぜドライバーを持っていたかの謎がとけてしまう。

3000万円手に入れたことは伝えていたが、隠し場所は教えていなかった。
成美は入院している間、模様替えのふりをして家中を探し回ったのだろう。
そして、ついにこの隠し場所にたどりついたのだ。

見つけ出した3000万円をもって、成美は行方をくらましたのだった。

瑠璃子の正体

慎介は、ふたたび監禁されていたマンションへ向かった。
管理人からうまく話を聞き出すと、瑠璃子の部屋を含むフロア全部が帝都建設の社長の所有だということがわかる。
そして以前、木内と飲みの場で同席していた樫本幹夫とコンタクトをとることに成功する。

樫本の話によると、木内は事故以来暗くなったらしい。
事故を起こしたこともあるが、婚約解消になったことが大きいのではないかと。
相手は帝都建設の令嬢だった。
それ以上詳しい話は知らないという樫本。
木内はクルージングが趣味らしく、その仲間の溜まり場へ行くことにした。

その店に着いた慎介はマスターから木内のことをうまく聞き出す。
木内は婚約者である社長令嬢の上原ミドリとお店に来ていたらしい。
そして、クルージングの時の写真を見せてもらった。

婚約者の写真を見たことをきっかけに、あることに気づいた慎介は、木内の家へ向かった。
外出するところだった木内を尾行することに。
瑠璃子のマンションの前でタクシーを降りる木内。
すかさず慎介は木内に話しかける。

そして、瑠璃子の部屋で監禁されたこと、マネキン部屋のPCでみた写真はマネキンではなく、木内の婚約者・上原ミドリだろうと伝える。
上原ミドリは岸中美菜絵になろうとしていたのだ。
木内は仕方なく慎介を瑠璃子の部屋に通す。

しかし部屋はすでに、もぬけの空になっていた・・・。

 

なぜ上原ミドリは瑠璃子になろうとしたのか?
交通事故当日におこった本当の真実とは?
成美はどこへ消えたのか?

全ての謎が明らかになったとき、そこには恐ろしい結末が待っていた。

ダイイング・アイの感想

東野圭吾作品では珍しいホラー作品。
東野圭吾さんはやっぱりチャレンジャーだなと思いました。
常に新しい形、ミステリー+αを作り上げられていることに驚きです。

今回の作品は、いわゆる鮮やかなトリックというよりは、謎を追いたい好奇心をくすぐられる展開だなと思いました。慎介の交通事故の記憶を探っていく謎。成美失踪の謎。突然現れた妖艶な女の謎。岸本の謎の行動と死。交通事故のもう一人の加害者木内の謎。慎介が事故の詳細を知ったあたりからの、怒涛の展開は釘付けになりました。

主人公が被害者というところからはじまり、加害者になったりと、物語が進むにつれて、立場が二転三転していくのがとても面白いと思いました。マネキンがまさか人間に変化するなんて?と思わせる驚きのホラー設定。謎の女の顔が、犯人・岸中玲二の作品集と同じだと気づいた時は何とも言えないゾクゾク感でした。

慎介のことを心配なふりして親切に接していた身近な人達が、自分のために影で慎介を裏切っている。人間の怖さをリアルに感じました。成美も結局は裏切り者になるし、江島もそう。現実社会もこんな感じなこと確かにあるのかなと。そこらへんのさじ加減が上手だなと思いました。

最初の導入部分の事故の描写がとてもすごくて、ありありと目の前に事故の現場の様子が。
衝撃な始まりで、一気に作品にのめりこみました。
謎の女の妖艶な雰囲気も、見事に表現している技術はさすがの一言です。

さりげなく模様替えしていた成美や、部屋にあったドライバー、木内の「罪の意識は薄い」といった言葉など、細かい伏線たちが回収された時には、感動の連続でした。

ラストで江島は大変なことになりますが、瑠璃子が本当のことに気付かなければそのまま慎介が同じ目にあっていたのかと思うと、それもまたトリハダものです。殺人よりも恐ろしい復讐の方法。美菜絵の怨念の凄まじさを感じます。

見どころ

交通事故の真相

事故の記憶が抜け落ちてる慎介は、その真相を知るために記憶を集め始めます。
そして、その事故は単純な交通事故ではないことが段々とわかってくるのです。
真相が明らかになって、全てが繋がっていくときには、本当に驚きました。

成美はどこへ消えたのか

お金に目が眩んだ成美は、慎介が持っていた3000万円をもって行方不明に。
その後の消息は分からずじまい。
一体彼女はどこへ消えてしまったのか?

慎介に近づく謎の女性は何者なのか

喪服姿で突然に信介のお店に来店した女性。
独特で妖艶な雰囲気に、まるでマネキンのような整った美しさ。
しかしそれ以外は全くの謎に包まれた女性。
一体彼女は何者なのか?
なぜ彼女は、慎介に近づいてくるだろうか?

もう一人の交通事故加害者・木内の謎

慎介と同じように、事故をおこしてしまった木内春彦。
しかし、彼は慎介のように、罪の意識に苦しむこともなく、豪遊生活を送っているように見える。
なぜそのような大金をもっているのか?
彼の素性を知ると、そこには辛い現実がありました。

タイトルの「ダイイング・アイ」の意味とは?

物語全般を通してキーワードとして登場する「視線」。
瑠璃子にしかり、マネキンのスケッチにしかり。
ラストに起きる衝撃の出来事を読むと、背筋が凍ります。

 



 

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