今回は東野圭吾さんの『夢幻花』をご紹介したいと思います。
この作品は、第26回柴田錬三郎賞受賞のヒューマンミステリー作品です。
「こんなにたくさんの時間をかけた作品はない」と東野圭吾氏は語るほどで、殺人事件のキーワードとなる「夢幻花」を追う様々な人たちの視点で物語は展開していきます。
この作品の魅力を、あらすじ(ネタバレなし)や感想とともにお伝えしたいと思います!
Contents [show]
あらすじ
蒲生蒼太と伊庭孝美の出会い
中学生の蒲生蒼太は、七夕の日に家族恒例の行事で朝顔市に来ていました。
そして、そこで伊庭孝美と出会います。
二人はメアド交換をして、メールのやりとりが始まりました。
しかし、父親にそのやりとりがばれてからというもの、彼女は突然よそよそしくなり、仕舞いには「これ以上はやりとりを続けられない」と一方的に関係をきられてしまうのでした。
訳がわからない蒼太はそのことを引きづることに・・・。
そして数年後。
親戚の自殺
秋山莉乃は従兄の鳥井尚人の葬式へきていました。
ある日、突然自宅マンションからの飛び降りたとのこと。
遺書もなく、警察は自殺と断定したようでした。
尚人に近しい人達に話を聞くも、原因に思い当たることは見つかりませんでした。
そして、その葬儀で祖父の秋山周治と久々に再会します。
事件発生
莉乃は葬儀で再会した祖父・秋山周治の家を久々に訪ねます。
すると、そこで出会ったのは、見事な植物の数々でした。
盛り上がった莉乃は、祖父の代わりに花が咲いたらブログへアップしていくことを提案します。
ある日、いつものように莉乃はまた祖父の家へ行きます。
そして、横たわっている祖父の遺体を発見してしまうのでした。
黄色い花の存在
現場からは、現金、預金通帳、カードなどは一切見つかっていませんでした。
早瀬亮介刑事は莉乃を事情聴取します。
そして、例のブログの話になりました。
莉乃は、花が咲くとネットにアップしていたこと、そして亡くなる直前も新しい花が咲いて喜んでいたことを早瀬刑事に伝えます。
そして、さらに操作を進めるべく、早瀬刑事は周治の前の職場を訪れました。
そこは、かつての植物開発研究所でした。
当時の同僚から話を聞くと、周治は強い正義感から、上司とよく衝突していたことを聞き出します。
蒲生要介からの接触
莉乃は祖父の葬儀会場で、周治の前の職場で一緒だった、日野と出会います。
そして、新種の花をつくる仕事をしていたことを知りました。
葬儀の後に、祖父の家へいった莉乃は、例の黄色い花が咲いた鉢植えがなくなっていることに気づきます。
警察にそのことを話してもまともにとりあってもらえなかった莉乃は、生前、祖父に止められていたものの、何かの手がかりがつかめるのではないかと、黄色い花の写真をブログにアップしました。
すると、蒲生要介という人物からメールがあり、莉乃は要介と会うことになりました。
植物関連の会社ということで、花について詳しく聞きたいとのこと。
そして話をしていくうちに、「MM事件」という言葉を聞いたことがあるか?と問われます。
そして、花はある研究機関で極秘に開発されたものなので、種をすべて捨ててくれと言われるのでした。
莉乃と蒼太の出会い
莉乃はモヤモヤをはっきりさせるべく、蒲生要介の家を訪れました。
あいにく、要介はその場にいませんでしたが、弟の蒲生蒼太と出会います。
莉乃は黄色い花のことやその後、蒲生要介が訪ねてきたことを話しました。
蒼太自身も小さい頃から兄とは距離があり、全然兄のことは知りません。
なぜ、警察庁の役人である兄が身分を偽り、莉乃に会いにいったのかは検討もつきませんでした。
莉乃と蒼太の話題は自然とその黄色い花に向きます。
そして、蒼太は「これはたぶんアサガオだ」と莉乃に教えました。
しかし、黄色いアサガオは存在しないはずだとも。
調べていくうちに、江戸時代には存在したらしいことがわかりました。
莉乃と蒼太は、亡き従兄・尚人が所属していたバンドライブへ行くことに。
そして、尚人のかわりに新しく入ったキーボード担当を見て、蒼太は固まります。
なんと蒼太が中学の頃に出会った、伊庭孝美だったのです。
本人は違うと言い切りますが、蒼太は間違い無いと感じていました。
しかし、数日後、伊庭孝美は突然、バンドを辞めて、消息を断つのでした。
莉乃と蒼太はさらに真相を追い求めるべく、黄色いアサガオの写真をもって、祖父の元職場であった、研究センターへ行くことにします。
研究センターではかつて青いバラを作る研究をしていたことを知ります。
しかし、開発競争は他に負けて、祖父・周治は研究センターを去ったとのことでした。
この黄色いアサガオは、一朝一夕にできるものではないので、周治が一人で作っていたとは思えないという意見。
より詳しいことはわからないと言うことで、田原というアサガオの専門家を紹介してもらいました。
夢幻花
莉乃と蒼太は早速、アサガオ専門家のところへ向かいます。
黄色いアサガオの写真をみせると、やはり間違いないと二人は確信しました。
ただ、突然変異はありえるとのこと。
そして田原から、黄色いアサガオだけは、追いかけるなと叔父から言われていたと聞きます。
追い求めると身を滅ぼす花、夢幻花なのだと。
そして、驚くべきものに出会います。
それは、変化アサガオの講演会の写真。
その写真の中にあの伊庭孝美が写っていたのです。
MM事件の真相
莉乃と蒼太は、従兄・尚人が所属していたバンドつながりで、工藤アキラという歌手の別荘へ行くことに。
黄色いアサガオと事件の関連性について何かわかるかも知れないと思ったからでした。
別荘は随分と不便なところにありました。
そして、その先の集落で別荘の話を聞くと、昔はタナカという夫妻がひっそり住んでいたという。
どうやら、息子が東京の街中でひどい事件をおこしていた事実をつきとめます。
図書館で事件について調べると、約五十年前に、マリリン・モンローの大ファンであった犯人が、彼女の死をきっかけに自暴自棄になり、日本刀を使って無差別に人に襲い掛かった事件だということがわかりました。
そして二人はハッと気づくのです。
マリリン・モンロー・・MM・・?
MM事件がこれだと確信します。
そして、記事を良く読んでいくと、被害者の中に蒼太の祖父・祖母、そして母の名前が掲載されていることにショックを受けてしまいます。
これは一体どういうことなのか?
こうして、母親がMM事件の遺族だったことを知ってしまうのです。
事情を聞こうと蒼太が帰宅すると、そこには母・志摩子からの置き手紙とともに、母は姿を消していたのでした。
黄色い花が消えた理由
早瀬刑事と蒲生要介との駆け引き勝負もいよいよ終盤に。
早瀬刑事の執念と推理力で、研究センターの日野が事件当日、周治宅を訪問していたことを白状させました。
そのやりとりを録音したものを切り札のカードとして要介に聞かせます。
日野は黄色いアサガオの研究を周治に手伝ってくれと頼まれていたと話します。
種はある人物からもらった。それを育てたらこの花が咲いたと。
あの日、花の一部を採取にいったら、周治の遺体を発見してしまったのです。
慌てた日野は、黄色いアサガオを鉢ごと回収し、現場を離れたのでした。
黄色いアサガオのことを色々調べられたらまずいと思い、警察には連絡しなかったのです。
それが日野の言い分でした。
そして、黄色いアサガオの写真と封筒に一緒に入っていた食事券を見たところで、要介はお礼を言います。
あなたのおかげたくさんの人が守られ、そして事件は間も無く解決するだろうと。
次から次へと出てくる驚きの事実に、謎は深まるばかり。
はたして、祖父を殺した真犯人は誰なのか?
黄色いアサガオの謎は一体何なのだろうか?
一見バラバラのように見えるたくさんの出来事が一つにつながったとき、驚きの真相が明るみになります。
夢幻花の感想
登場人物をはじめ、入り組み方がすごい。とにかく複雑です。
ですが、ぐちゃぐちゃに絡まった糸の束が一気に解けていくような爽快感はたまらないです。
謎が謎を呼ぶ展開が、とにかくこれでもかと続いていくので、先を読まないと終えられない、それぐらいスリリングで、こちらの探究心をくすぐる作品だと思います。
夢幻花という設定もまた面白いですよね。
「追い求めると身を滅ぼす花」というのが、よりミステリー色を強めていて、この作品の魅力になっていると感じます。
東野圭吾さんの他の作品であるガリレオシリーズなどと比べると、あっと驚くというよりも、じわじわと謎がひろがっていく重厚感のある作品だと思いました。
終盤に一気に明かされるスケールの大きな真相を知った時は、一瞬手が止まりました。
最後には、今回の事件をとおして、多くの経験をした莉乃と蒼太が、前向きにかつ責任をもって生きていこうとする様子が描かれており、とても爽やかな気持ちで読み終えることができました。
見どころ
⚫︎伊庭孝美は一体何者なのか?
事件を追いかけるたびに、蒲生蒼太の前に存在を現す伊庭孝美。
蒼太の初恋の彼女は一体何者なのか?
⚫︎蒲生要介は何を探っているのか?
蒼太の兄・蒲生要介は警察庁の役人であるにもかかわらず、身分を偽ったり、不審な行動をしていたり、謎が多い動きを常にしています。
要介の狙いは一体何なのか?早瀬刑事とのかけひきも見どころです。
⚫︎黄色いアサガオは一体何なのか?
黄色いアサガオの周りにはびこる数々の出来事や謎。
この花の存在とは一体何なのか?
事件との関連性はあるのか?
夢幻花とよばれるこの花の正体がわかった時、驚きを隠せませんでした。
⚫︎祖父・秋山周治を殺した真犯人は一体誰なのか?
黄色い花が咲いた直後に、殺されてしまった祖父。
なぜ殺されたのか?そして真犯人は?
莉乃と蒼太のコンビが協力しあって、真犯人を追い求める過程は、心躍ります。
読書好きな方ならもう知っているかもしれませんが、Amazonの「Kindle Unlimited」はとてもおすすめです。
月額980円(税込)で、200万冊以上の和書・洋書が読み放題。
よくある、「読みたい本がないんだよなー」っていうのも個人的にはあまり感じません。
ぜひ良かったら、一度無料体験してみてくださいね。
僕自身は常に枠いっぱい(10冊)まで本をレンタルしているような状態で、とてもありがたく利用させていただいてます。

