ミステリー小説

流星の絆(東野圭吾)の感想とあらすじ!ネタバレなしでご紹介!

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今回は東野圭吾さんの『流星の絆』のあらすじや感想について、主たるネタバレは避けつつ、お伝えしていこうと思います。

テーマは兄弟や家族の「絆」

まだ小学生だった子供たちの両親がある日突然殺害されてしまいます。
3兄妹で協力して、犯人に復讐を誓うところから物語はすすんでいきます。

兄2人が自分を犠牲にしてまでも妹を守ろうとする姿は読んでいて感動しました。

ドラマ化もされており、とても有名な作品です。

あらすじ

事件発生

小学生の有明功一、泰輔、静奈の3兄妹は、夜にこっそり家を抜け出し流れ星を見にきていた。
しかし、残念ながら見ることはできずに、雨にふられ帰宅することに。

すると、家の裏口からひとりの男が出てくるところを泰輔が目撃してしまう。
長男・功一がお店(家)に入ると、そこには無残に殺された両親(幸博・塔子)が横たわっていた。

現場検証

萩村刑事が事件現場へ向かうと、一足先に柏原刑事が到着していた。
最近ゴルフにはまっているらしく、傘をゴルフクラブに見立てて、素振りをしている。

有明夫妻が営業していたお店「アリアケ」のハヤシライスは同業者が味を盗みに来ることがあるほど評判であった。

刑事に頼まれ一緒に現場検証をする功一。
お店の裏口にバケツが置いてあるのだが、そこには、見慣れない傘が一本置いてあった。
調べた結果、その傘は指紋が綺麗にふきとられていた。

なぜ殺されたのか、動機を探る警察。
すると、当時、「アリアケ」の経営がうまくいかず、有明夫妻は借金が返せなくなっていたことがわかった。

そして、父・幸博は博打好き。
博打で作った借金絡みで殺されたのではないか?と推測する。

次男・泰輔が犯人の顔を目撃していたため、似顔絵を作成。
その似顔絵をもとに警察は捜査を進めるが、なかなか成果はあがらない。

有明3兄妹は、児童養護施設にあずけられることになった。

事件から半年たっても、操作は進展していなかった。
有明夫妻が200万円を引き出していたことはわかったが、その200万円は消えていた。
犯人が両親を殺し、持ち逃げしたのではないかと考えていた。

再び流星を見にいく兄妹

静奈が中学生になったころ、3兄妹はあらためて流れ星を見にいくために、夜中にこっそりと施設を抜け出した。
そして、今度は眩いばかりの流星群を見ることができた。

「おれたち3人はいつだって絆で繋がっている」と3人の絆をさらに強めるのであった。

詐欺師としての生き方

大人になった功一たちは、世の中を生きていくために、詐欺師になっていた。
きっかけは、静奈が資格商法にひっかかったことだった。

そのお金を取り返すために、騙された方法をそっくりそのまま利用して、他人からお金を騙し取ることに成功する。
そして、功一自身もまた働いていたデザイン事務所の社長から裏切られ騙されていたことも背中をおしていた。

功一が作戦を考えたり、必要な道具を偽造したりする。
そして、泰輔が変装して様々な役回りをこなし、静奈はその美貌を活かして巧みにターゲットに近寄って信頼関係を結んでいくというやり方で詐欺を繰り返していた。

この世の中は、騙すか騙されるかのどちらかなのだと。

最後の大勝負

将来のことを考え、そろそろ足を洗おうと考える功一。
それは弟や妹のためであった。
そして、最後の大勝負にでることを決意。

泰輔が宝石商となり、1000万円を騙し取る計画だ。

相手は、レストランチェーンの御曹司・戸神行成。
1000万円のダイヤを買ってもらい、行成へ近づき特別な人となるはずの静奈へ、プレゼントとして買ってもらうという内容だった。

事件に日に目撃した男

ある日戸神行成は、パーティ会場へと足を運んでいた。
続いて行成が入ったお店へ、静奈と泰輔も入っていく。
そして、作戦通り、見事に行成と接触することに成功する。

後日、静奈と行成は会うことに。
「とがみ亭」新店舗オープンのために、意見を聞きたいということだった。
そして、色々と会話を交える中で、行成は彼女の笑顔に心惹かれ始める。

「とがみ亭」が今のようになれたのは、元々はハヤシライスが有名になったからだった。
そして、行成は新店舗に、その元祖ハヤシライスを提供したいと考えていた。

いつも静奈が行動実行する時には、泰輔が近くで様子をうかがっていた。
そして、偶然行成の父・政行を発見する。

驚きを隠せない泰輔。
あいつが、両親を殺された事件当日、店の裏口から出て行った男だと静奈に告げるのだった。

とがみ亭の急成長

泰輔から話を聞いた功一は、とがみ亭のことを詳しく調べ始める。
すると、そのお店はハヤシライスが評判だったということを知る。

功一たちの両親が殺されたのが14年前。
ちょうどそのころ「とがみ亭」が流行り出したらしい。
そんな時に店主が強盗殺人など犯すとは功一には思えなかった。

当時の事件担当者の1人であった、柏原刑事と会うことに。
施設を出た後、功一たちのことを気にかけて、たびたび連絡をくれていた。

彼の口から、賭博をしていた組織の顧客リストに、有明幸博(功一たちの父)の名前があったと聞かされる。300万円の借金を抱えていた。
有明夫妻殺害事件は、もうすぐで時効を向かえようとしていた。

父(有明幸博)のハヤシライス

新メニューの試食会を開催する行成。
静奈もそこに招待されていた。

ラストのハヤシライスを食べた静奈は思わず泣きだしてしまう。
それは、父が作ってくれた「アリアケ」のハヤシライスと同じ味だったからだ。

その話を聞いた功一は、さらに「とがみ亭」やハヤシライスのことを調べ上げていく。
そして、たどり着いた結論は、戸神政行が「アリアケ」の味をパクったに違いないということだった。

あの日の夜に泰輔が目撃した男は、戸神政行に間違いないと確信する。

揺れ動く静奈の恋心

静奈は功一の指示通りに、行成に探りをいれるために、たびたび会っていた。
情報を集めるとともに、彼からお金を騙しとるために頑張る静奈。

しかし、いきいきと仕事の話をする姿や、淀みのない素直な生き方に触れるうちに心惹かれていってしまうのだった。

とにかく事件の証拠をつかみたいと功一が言っていたことを思い出す静奈。
はじめは1000万円を騙し取る計画だったが、目の前に政行があらわれたため、事件の犯人に復讐することへと計画を変更する。

あまり警察と接触すると、自分たちの詐欺行為がバレてしまう可能性があるため、功一は間接的に警察の目を政行に向けさせられないかと作戦を練るのだった。

証拠の捏造

戸神政行と「アリアケ」の接点を探す功一。
そして、ノミ屋グループの溜まり場であった喫茶店に、戸神政行は出前をしていることを知る。
そのノミ屋の顧客名簿に父親の名前があった。

客と出前店という接点がようやく見つかったのだ。

父親はノミ屋に300万円の借金を抱えており、それを期限までに返すつもりだった。
つまりそのころ手元には現金があったことになる。

しかし、その直前に殺されてしまった。
政行が父を殺し、お金を奪い、レシピも持ち去ったのだと結論づけた。

証拠がないなら自ら証拠をつくってやると、戸神家に、ハヤシライスのレシピノートを
隠す計画をたてるのだった。

そして、そのノートを静奈に託し、うまく戸神家の書庫に忍ばすことができた。

他にも警察の目を政行に向けさせるために、数々の誘導作戦をおこなっていたため、あとは警察が戸神家に家宅捜索すれば、シナリオ通りになる予定だった。

しかし、行成にそのノートを隠したことがバレてしまう。
こと細かにかかれたそのレシピノートを見て、驚いた行成。

彼がノートが書庫にあったのを発見したのは偶然だったが、そこから状況と証拠をもとに、静奈が隠したということを突き止めたのだ。

始めはなんとか、とぼける静奈だったが、悲しげにかつ論理的に詰め寄る行成に、ついに白状してしまう。(隠した事実は認めたが、自分が被害者遺族の静奈であることはうまく伏せた。)

意外な協力者

事態を収拾するために、行成と接触する功一は、現場に忘れられたビニール傘があり、指紋が拭き取られている痕跡があることを告げる。
そして、いまは、指紋以外にもさまざまなものからDNA鑑定ができるとも。

しかし、それを聞いた行成は予想外にも作戦を続ける提案をする。
つらいことではあるが、自分も真相を知りたいから協力すると言い出したのだった。

追い詰められる戸神政行

刑事のフリをして功一と泰輔は戸神家へおもむく。
事前に行成の許可で政行のDNAがわかるものを提出していたので、その結果を知らせるという演技をぶつけるつもりだった。

行成のサポートもあり、追い詰めれた政行は、思わず当日現場にあった証拠品のことを具体的に「傘」といってしまう。

誰も「傘」という言葉は使っていないし、そのことを知っているのは警察と3兄妹、事前に話を聞いていた行成以外は、犯人しか知り得ない事実。

父を信じたい行成も肩を落とす。

ついに政行は白状するのだった。

レシピをお金で買ったが、殺したのは自分ではないと・・・。

物語はここから怒涛の展開を繰り広げていく。

真犯人は一体誰なのか?

そして、その動機はなんなのか?

『流星の絆』の感想

とにかく3兄弟の絆に胸が熱くなりました。
突然両親が殺され、残されてしまった3人。

家を売ったお金も親戚に奪われ、功一、静奈も騙されてお金をとられる始末。
それでも兄妹手を取り合って、詐欺を働いてまでも必死に生きようとする姿勢は、胸が締め付けられました。

事件当日に泰輔が見た謎の男(戸神政行)が現れはじめてからは、とにかく先が気になってページをめくる手がとまりませんでした。
500ページを超える長編ですが、そんなことは微塵も感じさせません。

3兄妹それぞれの思いや葛藤、優しさなどが巧みな描写力によって、ありありと伝わってきます。

14年前に起きた両親殺害の犯人に、3人手を取り合って復讐をするという話だけでも十分に面白いのですが、そこに妹が敵方の息子に恋をするという設定がまた話を大いに盛り上げていると思いました。

戸神行成は、人の良さと、頭の回転の速さ、度胸、全てにおいて文句なしのスーパーマン。
(ちょっと女性に対しては鈍感なところもあるがそれも愛嬌)
主人公に匹敵するくらいのキャラだと思いました。

最後には詐欺物と知りながら、その指輪を買い、支払った代金でお金を詐欺の被害者に返すように功一に約束させるあたり、それは惚れてしまうでしょと。
そして、最後にはハッピーエンドで涙して、気持ちの良い終わり方でした。

緻密に練られた人間関係や事件とのつながりには脱帽です。





さいごに

東野圭吾さんの『流星の絆』のあらすじ・感想でした。

他の東野圭吾作品と比べると、総合的によくまとまっていて、読みやすい作品だと感じました。

東野圭吾作品を初めて読む方にもおすすめできる素敵な作品だと思います。

 

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