ミステリー小説

花の鎖(湊かなえ)の小説を読んだ感想!

今回は、湊かなえさんの『花の鎖』の感想を伝えたいと思います。

三人の女性の関係は?謎の人物「K」の正体とは?

一見すると普通の女性三人の生き様を描いた作品かと思えるのですが、読み進めるうちに、読者を驚かせる仕掛けがしっかりと待っています。

あらすじ

両親を亡くし仕事も失った矢先に祖母が癌で入院した梨花。
職場結婚したが子供ができず悩む美雪。
水彩画の講師をしつつ和菓子屋でバイトをする紗月。

花の記憶が3人の女性を繋いだ時、見えてくる衝撃の事実。
そして彼女たちの人生に影をおとす謎の男「K」の正体とは。
驚きのラストが胸をうつ、感動の傑作ミステリ。

引用元:文庫本裏表紙より

「花の鎖」の感想

時間軸トリック

最初は読んでいると、なんてことはない、それぞれ三人の女性の生き様を描いた作品と感じます。
「梅香堂のきんつば」が実にうまく、彼女らをつないでいて、重要な役割を果たしていると思いました。
そしてだからこそ、同じ時間軸で、三人の話が同時並行ですすんでいっているとすっかり思い込んでしまったのです。

この三人がどうやっていつどこで出会って絡んでいくのかなぁと普通に想像しながら読んでいました。
しかし読んでいくうちに、なんとなく違和感を感じるように。
ふんわりと、時代設定が違うような気がしてきたからです。

同時進行で並行して進んでいると思っていた物語。
しかし、「雪月花」というキーワードが登場したときに、おやと思ったのを覚えています。
そして、最後に一気に全ての世界が縦にガシャっとつながるときに、驚きを隠せませんでした。
鳥肌ものです。

最後に人物たちがつながった時は、一度、頭のなかでかなり整理する時間があったので、すんなり「おお!」となったというよりは、時間差で「おお!」となった感じ。
登場人物もまた多いですからね。

ミステリー作家が書いた恋愛小説?はやはり普通ではなかったと感心させられました。
時間軸を巧みに利用した、見事なミステリーでした。

時間軸を利用したミステリーというと、乾くるみさんの「イニシエーションラブ」が思い出されます。
あの作品を最初に読んだときは本当に驚きました。


同じ文章(作品)がその視点に気づいてから読むと、見える景色が全然違うし、伏線や謎がそこでわかるという不思議な体験だったからです。
こういう感じのトリックは好きなんです、はい。

美雪が初登場したわずか2Pで、「お見合い」という言葉が出てきている時点で、時代設定が梨花とは違うなと気づけたなと、2回目読んでみて思いました。

文体がおとなしめの丁寧な感じだったので、その流れでそのまま流してしまいましたが、その話し方(文体)こそ、梨花の時代とは全然違うということがあらためてわかって、楽しかったです。

美雪のパート

美雪の夫・和弥をだまして自分の独立に利用し、挙げ句の果てには直接ではないにしろ、和弥を死に追いやった北神陽介。

美雪のパートを読んでいる時には、どうしようもない人だとしか思えませんでした。
子供に恵まれない美雪に追い討ちをかけるような夫の死。
あまりにもかわいそうで胸が痛みました。

若手の森山くんに嘘をつくことを強要し、事件をあざむこうとした陽介。
最終的に親族からも批判され、孤独におちいった美雪。
夫との思い出の場所である御笠渓谷へフラフラと向かっていきます。

弱り切った美雪は、死ぬ寸前で、建設事務所の若手・森山くんに助けられました。
そして、お腹に赤ちゃんを宿していたことを知り、少し救われた想いになりました

この背景から生まれたのが、三人の女性のうちの一人である紗月だとわかってからあらためて「紗月のパート」を読むと、彼女の生き様に、さらに重みが増してきます。

やはり人間が背負っていること(背負ってきた歴史など)がわかると、その人物の魅力がいっそう増して感じられて話自体も魅力的になるなと感じました。

つらい過去を乗り越えて、女手一つで紗月を育て上げた美雪にもまた、たくましさを感じました。

紗月のパート

紗月にとって、女で一つで育ててくれた母・美雪はとても大切な人。
しかし紗月が好きにになった人北神浩一の両親は、母と確執がある。
そんな中、彼は白血病が発症してしまい死にかけている。

自分が彼のドナー提供者(骨髄液)になれば彼は助かるが、それは母を裏切ることにならないか。
その間で葛藤する彼女にとても同情してしまった。

梨花のパート

両親が突然の事故でいきなりこの世をさってしまいました。
梨花は祖母に育てられ、今、その祖母がガンで闘病生活を送っている。
自分は、突然の会社倒産でピンチに。

あしながおじさんこと「K」にお金を貸してもらえるように手紙を書きます。
この「k」は毎年母親に花を送ってきていました。

謎の人物「K」の存在は、全体を通して、物語を盛り上げていて、良いバランスだったと思った。

梨花とKの秘書(Kの息子)の出会いで、言い合いになるシーンは、複雑な心境で読んでいました。
父が妻の前で、堂々と、元恋人に花を送っているのを見るのはつらかったのはわかる。

しかし、それを相手方の娘に八つ当たりするような感じは、見ていて気持ちいいものではありませんでいた。
お金の話や花の話をおわらせるにしても、もうちょっと大人なやりようはあるのではと思ってしまいました。

「手切金」という言葉を使われて、カチンときた梨花の気持ちも共感してしまいました。

謎の人物「K」について

バラバラの三人のパートを、「Kとは一体何者なのか?」という謎がうまくつないでいる構成となっているなと思いました。
物語の中心に横たわっているのは「Kの存在」

途中までは三人の身近に起こったお話を交互にすすめていく構成なので、この謎がなければ途中で離脱してしまっていたかもしれない。

紗月としては、母親である美雪と北神家との確執を知った上で、Kこと北神浩一を救ったわけで、それ以上は関わりを持ちたくないのでは?と感じました。

しかし、命を救われた方としては、お礼として毎年花を送り、資金援助の話まで持ち出す始末。
気持ちはとてもわかる。
しかし、あしながおじさんみたいに描かれているが、正直もらう方(紗月)は複雑な気持ちだったであろうことが簡単に想像できました。

ネットでは、単なる自己満で迷惑でしかないという意見がちらほら見られましたが、これに関しては自分も同意見です。

タイトルについて

「花と鎖」という題名はやはり、三人の繋がり(絆)を表現しているのだろうか。
ただ、「鎖」というのはちょっと冷たい感じがするし、個人的なイメージでは「しがらみ」みたいな印象をうけました

両親の確執とかもその「しがらみ」「しばり」に含まれくるような気がします。
両方の意味を込めているのかもしれませんね。

香梅堂のきんつばと、香西の『未明の月』という絵が三世代にわたり登場してくるのはキーポイント。しかも「花三人」にそれらをつなぐ「香り」が二つ。
あとからこのことに気づいたときはちょっとワクワクしました。
(「アカシア商店街」「山本生花店」「梅香堂」「香西路夫」)

読後感

すっきりした気分で読み終えることができました
三代にわたっての北神家とのしがらみ・わだかまりが完全とは言わないまでも、ハッピーエンドで終えられているので、良いラストだなと感じました。
(伏線だけは気になって、後日最初から再度読みましたが)

湊かなえさんの作品の中では割と、毒が少なめの作品だと思いました。
(他の作品が人間のドロドロした部分をさらに描いているからなのだが)

さいごに

とても面白い作品でした。

途中でこの作品に仕掛けられたトリックはわかったものの、話全体を通して続きが気になる構成・展開に読む手はとまらなかったです。

バラバラのお話が、気づいたら全体図にはまっていっていた、その過程がとても魅力的な作品でした。


最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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