ミステリー本

殺人の門(東野圭吾)のあらすじや見どころをご紹介!感想も!

人が人を殺すとき、必要なものは何なのか?

殺意を抱いては、いざとなると殺せない。

そんな主人公の葛藤が描かれていく作品です。

複雑な主人公の心理描写が巧みに描かれていて、
気づいたら自分が主人公になって、作品の中にハマっている感覚でした。

今回は、東野圭吾さんのこの作品『殺人の門』のあらすじ(ネタバレなし)と見どころ、個人的な感想をお伝えしていきたいと思います!

 

あらすじ

主人公・田島和幸は歯科医の息子として裕福な生活を送っていました。

ある日、倉持修という同級生に紹介された「賭け五目並べ」に熱中することに。

おしいところまでいくものの、最後には負けて、小遣いは減っていってしまいます。

寝たきりだった祖父が亡くなり、和幸の環境が変化していきます。

近所には「母が祖父を毒殺したのではないか?」という噂が広まっていました。

その頃から和幸は殺人という行為に関心を抱き始めます。

近所の噂のせいもあり、歯科医院の経営は傾き始めました。

そして、両親は離婚、和幸は父の元で生活していくことになります。

ある日、和幸のもとに呪いの手紙が届き始めました。

一方、父親は飲んだくれ、ホステスの志摩子にお金を貢ぐという毎日を送っていました。

しまいには、志摩子の恋人にスパナで頭を殴られ、歯科医としては致命的な後遺症を腕に持ってしまいます。

そして、さらに飲んだくれ生活へと突入します。

中学生になった和幸は、学校で木原と出会います。

その木原に、「賭け五目並べにはサクラがいる」という話を聞き、倉持修なのではないかと考える和幸。

歯科医院が廃業となり引っ越すことになりました。

引越しの最中に、歯科医院にあった毒薬を和幸は手に入れます。

この出来事をきっかけに、妄想ではなくかなり具体的にこの毒薬でいつか人を殺してみたいと和幸は考え始めていました。

 

和幸は転校先でひどい苛めにあいます。

もともと毒薬を使いたいという欲望を思っていた和幸は、これでいじめグループを殺そうと考えました。

しかし、動機(いじめられている)や手段(家が歯科医院)ということから、事件おこすと周りにバレバレなため、実行はどうかと考えました。

そして、ふと倉持修を思い出します。

自分には倉持修を殺す動機が十分にあるのではないか?と。

和幸をだまして、賭け五目並べに誘ったり、境遇が不幸へと一気に向かう転機となった呪いの手紙を送ってきたことなど。

いじめグループ全員の殺人計画のための実験台として、倉持修を殺すことを決意します。

毒薬をしこませて倉持のもとへいくと、賭け五目並べのことや呪いの手紙(殺とかかれた葉書が大量に届いたこと)について、なんだかんだ言いくるめられてしまいました。

そして、その時、和幸の中にあった殺意は消失してしまっていました。

ストーリーはその後も和幸が殺意を抱いて倉持のもとへいくたびに、言いくるめられ結局殺すことができないということが繰り返されていきます。

殺意はどんどん強くなっていくものの、いつも殺すことができない葛藤が描かれていきます。

人を殺すために必要なことは何なのか?

周りの環境がうまくいきかけると、いつも決まって現れて和幸の人生を狂わせる倉持修は、一体何を考えているのか?

 

見どころ

人はどうなると人を殺すことができるのか?

和幸は倉持を殺そうと思っても、殺意を持って会いにいくたびに、言いくるめられてトーンダウンして結局戻ってきてしまいます。
人が人を殺す時は一体どういう時なのか?
何が必要なのか?
むしろ、結果的には倉持のさらなる提案に乗っていってしまう和幸。
和幸の気持ちの葛藤が痛いほど伝わってくるたびに、ハラハラドキドキさせられます。
果たして、最後に主人公は人を殺すこと「殺人の門」をくぐることができたのでしょうか?

和幸と倉持の関係

倉持修・ガンさんとの出会いからはじまった賭け五目並べ。
負け越してしまい、結果的に騙されていたことに和幸は気づきます。
呪いの手紙は誰から送られたのか?
なぜ初恋の人は不幸な結末へ向かってしまったのか?
恋する相手は気づいたら倉持がかっさらい、生活が少しでも幸せになりかけると、決まって倉持があらわれ、あれよあれよと悪い方向へ落とされてしまいます。
いつもそれの繰り返し。
しかし、和幸が完全に倉持を拒絶するか?というと、倉持に会って、話をするたびになぜかまたくっついていってしまう。
はっきりとした証拠はないまま倉持の元に向かうと言いくるめられてしまう。
なぜ倉持は和幸のことをかまうのだろうか?
2人の不思議な関係。
ラストでは、なぜこんな関係を自然と続けなければならなかったのか、明らかになります。

一人称で語られていく作品

全てが主人公の視点のみで描かれているので、真相は主人公の考えと周りの会話・出来事から理解していくしかないもどかしさがありますが、それがまた妄想をかき立てられて面白いです。
先が気になって手が止まらないほど、次から次へと展開されていきます。
誰の言葉を信じればいいのか?
自分が体験しているかのように、世界にのめり込める楽しさがあります。

 

感想

モヤモヤ・イライラしながらも先が気になり、一気に読み上げてしまいました。

一人称(主人公の目線のみ)で描かれているので、真実がわからないモヤモヤと、主人公の葛藤などのリアルな感情描写に気持ちが入り、ついついイライラしてしまう、終始そんな繰り返しでした。

しかし、それぐらい深く入り込めて、それがまた面白く、作品を読み進める手が止まりませんでした。

読了後は、むなしさと虚無感がふわっと広がりまとわりついている、そんな感じでした。

真相が謎のままという部分もいくつかあるのでスッキリはしない箇所がありましたが、ただ、そんな複雑な気持ちを差し引いても、物語にぐいぐい引き込まれていく魅力は本物だと思いました。

時間を忘れて没頭できた分、とても良い時間が過ごせたと思わせてくれた作品でした。

ページ数はそれなりにありますが、そんなことは感じないくらい引き込まれると思います。