ミステリー小説

麒麟の翼(東野圭吾)のあらすじと感想!見どころも合わせてご紹介!

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東野圭吾さんのシリーズ作品でも有名な加賀恭一郎シリーズの9作目の作品です。

日本橋を舞台に、親子の絆をメインテーマに展開されるミステリー作品です。

ミステリー要素はもちろんのこと、ヒューマンドラマの要素も存分に楽しめると思います。

読んだ後に広がる切ない気持ちと満足感はとても素敵な余韻に浸らせてくれました。

それでは、『麒麟の翼』(東野圭吾)のあらすじ&感想を、見どころと合わせてご紹介したいと思います!(ネタバレなし)

 

あらすじ

日本橋にある「麒麟の像」の下で男性・青柳武明が腹部を刺されて絶命した。彼は別の場所で腹部を刺され、瀕死の状態にもかかわらず、交番を通り過ぎ、街ゆく人に助けも求めずに、この麒麟の像まで歩いてきたのだ。

そして息絶えた。

事件の担当にあたったお馴染み加賀恭一郎は、この男性について不可思議な数ある行動の謎解明に乗り出し、犯人探しに突き進む。

なぜ、わざわざ麒麟の像の下までやってきたのか?どうしていつもの活動範囲とは異なる日本橋にいたのか?謎は深まるばかりだった。

ほどなくして容疑者が見つかった。

しかし、彼は警官から逃げる最中に交通事故にあってしまい、意識不明の重体だった。

彼の所持品の財布の中に武明の免許証があったことから事件の容疑者として浮上した。

金目当ての犯行かと思われた。

容疑者は武明の会社(建築部品メーカー)で働いていた派遣社員の八島冬樹。

勤務中に事故にあってしまうが、会社の労災隠しに巻き込まれてしまう。

病院にいくこともできずに、症状も悪化し、しまいには契約も打ち切られて、職を失ってしまうのだった。

職場の最高責任者は武明だったため、怨恨の線ではないか?ということで捜査は一段落する。

はじめは容疑者への世間の風当たりが強かったが、労災隠しのニュースにより、残された青柳家の家族たちが今度は、世間からバッシングを受けることになる。

加賀恭一郎だけは、武明の行動から別の真実があるのでは?と推察しており、捜査を継続していた。

どうやら武明は「七福神巡り」をしていたらしい。

千羽鶴を折りながら、一つ一つ周って奉納していたようだ。

なぜ武明は熱心にそのようなことをしていたのだろうか?

捜査しているうちに、過去のある事件が今回の事件と大きく関わっているのではないかと考え始める。

その捜査の過程で、加賀達は1つのブログの存在を知った。

そして、それがまさに武明との繋がりだったのだ。

そこから、事件の解決は一気に急展開をみせる。

過去の事件の隠された真実に気づき、それこそが今回の一連の事件の全ての始まりだったのだと確信する。

過去に起きた悲劇が、多くの人を巻き込み、負の連鎖が広がってしまった。

果たしてその真実とは、一体何だったのか。

父・武明の命がけの決意とは何だったのか。

 

麒麟の翼の感想

父・武明が息子のために慣れない日本橋を歩きまわっていた理由

武明の生前の行動にはたくさんの不思議な点があります。

なぜ日本橋にいたのか?

なぜ麒麟の像の前で息絶えたのか?

その謎がまさにこの作品を最後まで楽しませてくれる要因だと思いました。

謎を知りたいと思いなが読み進めていくと、様々な人物や出来事(点)がみごとに線につながっていく展開に、気づいたら夢中になっていました。

ヒューマンミステリー

ただ犯人はだれで同期は何か?を解明するだけのミステリーではなく、武明の人間としての生き方や息子に対する思いが、むしろストーリーのメインなのではないかと思うほど丁寧に描かれているヒューマンストーリーでもあります。

犯人の意外性はもちろん、過去の事件を発端に負の連鎖が多くの人を巻き込み、広がってしまっていった悲劇に、胸が苦しくなりました。

様々な登場人物の感情や気持ち

登場人物たちの感情や気持ちがとてもリアルに描かれていて、各々の気持ちを追体験させられた感じでした。

被害者であり加害者でもある。

そんな人たちが多く、心の揺れや後悔、葛藤が溢れており、そして小さな希望も。

それぞれの人物が抱える背景がまた魅力となっているように思います。

事件に関わった人に完全なる悪人がいないのがまた余計に悲しくもなりました。

加賀恭一郎の魅力

一度は派遣社員による怨恨での殺人事件として処理されようとするのですが、そこからの加賀恭一郎の推理力、洞察力は、見ていてとても驚かされるとともに、感動してしまいました。

痛快さもともなう楽しさでした。

そして、事件をだけをやみくもに追うのではなく、人の気持ちもふまえて解決しなければ、本当の事件解決にはならないという加賀刑事のスタンスは見ていて、心に響くものがあります。

容疑者死亡で警察が勝手に推測した終結で手仕舞いにしようとしたときに、「これでは全然何も解決しない!」と松宮刑事とともに動き回るところは、胸に込み上げてくるものがあり、感動しました。

 

最後に

加賀恭一郎シリーズということで、派手さがあるわけではないものの、「人の感情や気持ち」を一つ一つ丁寧に描かれている作品だと思います。

それが独特の魅力をはなっている大きな要因の一つだと思っています。

安定の楽しさと満足感でした。

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